石岡(旧八郷町)の西光院を訪ねた。というのも,観音菩薩(学研)をパラパラめくっていたら十一面観音のところに西光院の立木観音が紹介されていたのに驚いたことによる。西光院は筑波山系の上曽峠を入ったところにあり,ここは何回か自転車トレーニングで訪れていて良く知っていた。前回訪れたのは2年ほど前になるだろうか,じっくりと参拝してみようという気になった。
上曽峠からの道はちょうどアジサイが咲き誇っていた。あじさいロードの看板があった。
山門を抜けると左に寺の受付と庫裏があり,その脇には立木観音の堂宇がある。正面の参道は本堂へ続いている。
センサーが感知したのであろうか,大黒さんらしき婦人が庭箒をもって出てきた。堂宇の観音様は拝めるかと訪ねると錠前を開けてくれた。 そこには見上げるばかりの(一丈六尺,5m強)十一面観音菩薩が祀られている。
長い時間が経って鉈彫の痕も見分けられなくなっている。下から見上げる,お顔は 顎髭を蓄えているようにも見える。心経を誦すと狭い堂宇に木霊した。
堂宇の脇には如意輪観音などの石碑が置かれている。
本堂脇には大きな楠が並び立っている 。
本堂には馬頭観音が祀られているそうだ。回廊は崖に張り出しており,京都の清水寺の舞台のようだ。
その回廊に立つと,眼下に八郷の町を望むことができる。目の当たりに見える景色の中で,フルーツラインと呼ばれる軽いアップダウンを繰り返すコースを自転車でトレーニングをやったのはついこの間のことだ。
帰り際に, 2年ほど前に比べて随分と注意書きが多くなりましたね,とさっきの大黒さんと話した。西光院もいろいろなメディアで有名になり,土日はバスで団体さんが訪れるようになったそうだ。それに伴って,とくに中高齢者の悪いマナーが目に付くようになったそうだ。土足で本堂に上がったり,回廊で飲食をしたりなどなど。若い人に注意するとすぐに聞き入れてくれるそうだが,中高齢者は逆に食って掛かってくるという。
そういう自分もこの冬・春の秩父巡礼をやらなければ,じっさいに2年前の自転車トレーニングのついでの参観もそうであったが,観音様の前や本堂で頭を下げるなんてことはしなかったであろう,と自戒している。お天道さまがみているから悪いことはしない,ということは当たり前でなくなってしまったのだろうか。