7月 032007
通勤途上で十一面観音堂に出合った。7時半に自宅を出たので,ちょいと遠回りしてのんびり走っている途上だった。それは,つくば市上横場1416の一乗院の十一面観音堂であった。
400年ほどまえの観音堂が古くなったので,平成3年に地元の有志で再建したそうだ。地図には一乗院とあるが,記憶ではそこには寺院はなく,やや広い境内に部落の集会場があっただけだ。
内部には小さな厨子が3つあった。そのうちの一つの脇侍の扉が半開きになっていたが,判然としない。正面のご本尊の十一面観音は拝めなかった。(2009年8月17日に,ちょうど,年一度の御開帳に遭遇した。金色に輝く,光背をを持った観音像を拝むことができた。)
頭上の額には安永8年(1779)に久保田某が西国・坂東・秩父の百観音巡礼を結願したという書きつけがある。四国三十九番の土佐寺と秩父十五番の蔵福寺のご詠歌が書かれていた。かつてはこのあたりでも地元の観音信仰は盛んだったことが伺える。余談だが安永3年には杉田玄白の「解体新書」が発刊されている。
現在の秩父札所十五番は少林寺だが,草創期より江戸幕府末期までは母巣山蔵福寺と呼ばれて栄えていた。明治の排仏毀釈の影響で廃寺となったが,同地 柳島(現東町)にあった五葉山(ごようざん)・ 少林禅寺が、民衆信者の誓願によって札所として母巣山少林寺(寺院としては五葉山少林寺)と認められ信仰を集めている。