今年になって初めてのハイキングに中央沿線の山を選んだ。ガイドブックによれば人気の山という倉岳山に西隣の高畑山をセットしたコースだ。常磐線の一番電車に乗って中央本線の鳥沢駅に3時間ちょっとで降り立った。JRのホリデーパスの対象区間のほぼ端(土浦)から端(大月)までの移動である。甲州街道をちょっと戻って地下道で中央線を渡ると左手に倉岳山,右手に高畑山が眼前に開けてきた。
虹吹橋なんて言う洒落た名前の橋を渡り小篠部落を抜けると登山道の入り口に達する。ここの扉を開けて進むと小篠貯水池に出くわした。白っぽい水をたたえた静かな池だ。その脇を進むと本格的な登りが始まった。
沢のせせらぎの音を聞きながら静かな山道を歩いて行く。道ばたにはタチツボスミレやイチリンソウが咲いている。一時間ほど歩いたところで高畑山分岐に到着した。
新緑の木立の中を歩を進めていく。ヤブレガサも見られる。やがてピークを巻いていくジグザクの登りに差し掛かりたっぷりと汗をかかされる。そうこうするうちに道は下り始める。レレレ,せっかく登ったのに〜。下ったところのベンチで一休みする。どうやらここからが高畑山への詰めになるらしい。急な登りをヒイコラ言いながら登っていくとようやくのこと高畑山の頂上に着いた。
思わずうなるほどの富士山が出迎えてくれて,ここまでの疲れもちょっと癒されそう。ここ高畑山と次のピークの倉岳山は大月市の富嶽十二景の九番になっている。時間はちょっと早いが周りに合わせるように昼食を取ることにした。例によってビールだ。乾いたからだにす〜っと浸みこんでいく。まさに,干天の慈雨だ。しかし,自分の今日の体調は散々だ。朝から胃が痛み,腸はゴロゴロ言っている。おまけに昨日のサイクルトレーニングの疲れがとれてない。暑さもさることながら,かなりバテた。メニューのラーメンも完食できないほどだ。この先どうなることだろうか。倉岳山から鳥沢駅に戻るようになるかも知れない。
ビール2本分と水500mlをリュックから下ろしたので少し楽になった。今日は,一眼レフと欲張ってレンズを3本持ってきたのがかなりの負担になっている。交換レンズは使わず終いになりそうだ。一息ついたところで倉岳山に向かって下る。カミさんはビールが効いてきて,少々足下が危ないと言う。倉岳山が見える尾根道にはさわやかな皐の風が吹き渡りとてもいい気持ちだ。登山者で混雑しているかと思ったがそれほどでもなく,静かな山歩きとなっている。
天神山というピークからは甲州街道,中央高速,中央線が走る下界が箱庭のようだ。やがて高畑山分岐から伸びてきた穴路峠に着いた。ここから一登りで倉岳山に着くはずだ。もうひと頑張り,もうひと頑張りと自分を励ます。
ヒトリシズカやヒゴスミレに心を休める暇もなく最後の詰めに差し掛かった。本当に今日のハイキングは辛い。
倉岳山の頂上は高畑山よりも広い。ここからも富士山が大きく見える。周りの木々は芽吹いたばかりなので展望が良く効いている。あめ玉をしゃぶりながら一休みする。が,疲れは回復しない。ここからは下りなのだからということで,予定通りの梁川駅へのコースを取ることに決定。
小さなアップダウンを繰り返して立野峠に到着した。ここの指導票は何故か立派だ。ここでコーヒーで一服した。インスタントだがクリームと砂糖が今日の体調に合ってとても旨く感じた。
さあ,ここからは下り一方だから楽だろう。梁川駅へは1時間10分と指導票が教えている。水場を過ぎると流れは大きくなり月屋根沢となる。緑がたっぷりの下り路だが,今日の体調ではいい加減に飽きるほどに感じた。ようやくに登山道は終わり,コンクリート舗装の林道に出た。梁川大橋を渡ると甲州街道だ。その先に梁川駅がある。電車の音がしたので慌ててホームに入るが,下りの列車だった。が,すぐに上りの東京行きが来た。ナイスタイミングだが顔を洗うことも出来なかった。相変わらずすっきりしない腹具合だったが,帰宅してのビールと夕食はきっちりと取った。
歩いた距離は13.0kmで6時間45分かかった。それにしてもきつい山行であった。