三連勝シニアクラブの今年最後になる月例ツーリングは昨年に引き続いて北茨城に紅葉を愛でる企画だ。リーダーのFさんが立てた行程は,ときわ路パス(季節限定でJRが発行する茨城県内のJRと私鉄が一日乗り放題)を利用して輪行で高萩まで行き,そこから二つの峠を攻めて(?)花貫渓谷,大北渓谷の紅葉を狩って再び高萩に戻るというものだ。自分はHammerheadでの輪行に備えて前日に梱包して,当日はクルマで駅までいくというズルをした。
車内でリーダーのFさんと会うと「あれっ,参加するの」というご挨拶だ。Fさんからの案内メールにすぐに返事したのに,それきり何も言ってこないのでおかしいと思いながらも今日の参加であったが,果たしてこの調子だ。自分からの返信を見誤ったのか,メールが届かなかったのか分からないが,まあ当時参加できた。曇りの天気予報と北関東の里山を走るので,寒さ対策の長袖,タイツのスタイルで高萩駅に降り立ったのは9時前だった。さっそく自転車を組み立て,Fリーダーのブリーフィングを聞いて総勢15名が花貫渓谷に向かった。
花貫渓谷は今年からカーボンオフセットパーキングを導入して駐車料金の一部を地球温暖化防止対策にまわすそうだ。でも我々はほとんどカーボンは排出しない自転車での観光である。サイクリストにとってはクルマが排出したカーボンでカーボンの自転車フレーム作成にオフセットして欲しいものだ。花貫渓谷の名所の汐見滝吊り橋は紅葉の見ごろはあと少しといったところだ。それでも吊り橋は観光客で一杯だった。
二つの花貫トンネルを抜けた物産センター「清流の郷」でショータイムを取った。ここも大勢の観光客で賑わっていた。その中に猪鍋を見つけて珍味に舌鼓を打ち,さらにサツマイモと昆布を甘く炊いた地元料理をいただいた。
ここからはちょっと登りがきつくなり,集団はばらけた。それでも昨年ほどの登りほどではなかったので,程なく全員が揃い爽快なダウンヒルに入った。アッと言う間に見えなくなったダウンヒルの達人のNさんに続こうとするが,小輪のHammerheadではギアが回りきってしまって50km/hがようやくだ。後続集団は安全運転を心掛けて慎重に下ってくる。
R461のダウンヒルからから平坦路のR349に入りお待ちかねの「うな昭」に到着した。今日の昼食メニューは特上のうな重だ。Fリーダーの前もっての手回しで,すぐにうな重が出てきた。つい先ほど猪鍋とサツマイモを食べたばかりで,なおかつ,高齢者でありながら旺盛な食欲である。食後のデザートのフルーツをサービスしていただいたオーナーに感謝,感謝。
県道22号に入ってすぐに再びヒルクライムが始まった。途中,Kさんがパンクしたので里美カントリー牧場の入り口で待った。この間に小輪車のHammerheadに注目が集まり,何人かに試乗してもらった。今日くらいのヒルクライムならばアウターギアで上れたので皆さんに驚きの眼で見られた。しかしベテランのFリーダーは「小径車だからネ」と冷たい視線を投げ掛けられる。それにしてもこのあたりの田園風景は何とも言えない長閑のものだ。都会のサイクリストにとっては涙が出るほどのものだろうなぁ。
峠の頂上からはまたもやNさんがかっ飛ばしていく。途中の小山ダムでショータイム。ここまでは観光客も足を伸ばさないとみえて,2時を回ったばかりなのに売店のうどん屋は早くも店仕舞いだ。ダム建設で土地などを提供した住民の名を刻んだ碑の前で記念撮影をした。この地区はダム湖の水底に沈んだのだ。それを読んだ爺さんたちは,やれ八ッ場ダムもこうなるのかなどとかまびすしい。
このあとの大北渓谷の紅葉は今日一番の素晴らしさだったがダウンヒルに夢中でじっくりと鑑賞,撮影する暇もない。いやはや恐るべき爺さんたちである。やがて常磐高速の高萩ICを過ぎて,時間がたっぷりとあったので,県指定文化財となっている江戸時代中期の穂積家住宅を見学した。100坪の見事な庭園や立派な梁の天井などなど当時の豪農の姿が偲ばれる。
高萩駅に戻ってきたのは3時半を回ったばかりだった。Fリーダーの案内のおかげで明るいうちに帰り着いた。自転車を畳んでキオスクでビールを買い込み,車内のそこここで慰労会が繰り広げられた。
走行距離76.4kmを6時間15かけて,ゆったりと紅葉を楽しみ,猪鍋・うな重を味わい,歴史の流れに浸った一日であった。気のおけない仲間との至福の時を過ごすことができた。もっともM会チョさんは「敵にしたくないよりも,仲間にしたくない連中だな〜〜」とのたもうていましたが…