三連勝シニアクラブの今月のツーリングは荒川を遡ってNHK TVで更に有名になった川越で秋の新蕎麦を食べようという趣向だ。当初,帰路は川越から輪行の予定であったが,出発時間を早めて全コース150kmの実走プランとなった。隠れ晴れ男が居たのか,前夜の雨も上がり好天を迎えた早朝6時半に手賀沼の親水公園に集まったメンバーは12名である。リーダーSさんの説明を神妙に聞いて出発した。
どうやって荒川サイクリングロードに出るのかと思っていたら,SリーダーはR6の裏道を通り,南流山から江戸川サイクリングロードに入った。しかし,前回の犬吠埼ロングライドと同様に,今日のSリーダーも夕暮れ前に帰り着くという使命に燃えてガンガン引きまくる。自分は金曜日にやったパワートレーニングの疲れが残っていて,その上に小輪車のハンマーヘッドをシャカリキに漕がなくてはならないという状況が辛い。まるで朝練の延長の様だ,というメンバーも声もSリーダーの耳に届かない。江戸川を新葛飾橋で渡り亀有のコンビニで補給タイムをとった。この頃は途中から参加のメンバー2名が加わり総勢で14名となっていた。レッツゴーの合図で出発し,綾瀬を経過し千住新橋の脇から荒川サイクリングロードに入った。
河川敷ではあちこちで野球の試合や練習の光景が見られる。たくさんの自転車乗りにも出会うようになった。道路には大きな20という字が書かれている。メンバーによるとこの10月1日から多摩川サイクリングロードでは,事故が多いために自転車の20km/hの自主規制が始まったと言うことだ。ここ荒川サイクリングロードでも同様らしい。メンバーからは,最低速度20キロとか20歳台走行可の意味だという皮肉の声が上がる。時速20キロじゃ運動にならないやねとばかりに爺さんたちはかっ飛ばしていく。しかし,この後でHさんは走路のバンプに気がつかずにハンドルを取られて転倒して名誉の負傷を負うことになった。後に分かったことだが,ふくらはぎの肉離れも併発していたとか。やはり20キロですか?! 笹目橋をバックに美人サイクリストに記念撮影をお願いするなどまだまだお若い爺さんたちである。自分は浦和の秋ヶ瀬公園でのんびりと休息したかったのだが,Sリーダーは前進あるのみモードだ。
11時過ぎに川越の街に入った。が,川越は一大観光地と化していて人,人,人である。Sリーダーの先導で路地に入り込み,お目当ての稲荷小路の悠々庵についた。11時半を待たずして通された店内は蕎麦屋らしからぬモダンな雰囲気であった。皆さんで蕎麦御膳を注文したが,もり,かけ,大盛り,普通盛りなどの注文を受ける店員さんはやくも多忙だ。川越らしく芋天や蕎麦豆腐が添えられていた。利根川の大家であるKさんもSリーダーもご満悦の至福のグルメタイムである。
1時間ほどで食事は終わった。早々に帰途につきたいSリーダーであるが,メンバーの「川越ならこれでしょう」の声で時の鐘をバックに記念撮影を設定せざるを得ない。五百羅漢で自分探しをしたいという自分の希望もむなしく,喜多院はぐるっと回っただけで終しまい。平成23年まで改修のために望めない川越城本丸は素通りも仕方ない。その脇の三芳野神社は童謡の「とうりゃんせ」発祥の地とある。城中の神社だから通りにくかったという事を反映した歌詞とか。表通りに出て,和菓子の老舗「道灌」に立ち寄る。Sリーダーが甘玉,甘玉と言うが,はて何の事かと思えば餡玉のようだ。自分は道灌饅頭,芋羊羹,芋パイ,芋万,芋せんべいを求めた。カミさんの角(ツノ)がこれで少しは短くなれ,短くなれ。
帰路は入間川,荒川を渡って上尾,蓮田の街中を走った。信号で止められて走行スピードは落ちるし,はてはメンバーは分断されてしまう。蓮田のコンビニで補給をした後,元荒川にかかる宮前橋で分断されたメンバーが直進してしまい迷子になってしまった。携帯電話で連絡をとり,ようやく合流するというハプニングもあった。この後で1名が膝の故障のために離脱した。岩槻大橋で元荒川を離れ松伏に向かった。江戸川サイクリングロードに上がろうとする築比地でSリーダーが大きな農家の佇まいの「山歩」という創作和食の隠れ家に案内してくれた。ランチだけをやっていると言うことだが,その人気は高く3年先までの予約があるそうだ。そんなにこっちは待てね〜ヨ,棺桶片足だからナ〜などとお互いをなじる声も聞こえてくる爺さんたちである。玉葉橋を渡ると見慣れた利根運河である。ウンカの大群の中を虫だらけになりながら夕日との競争(走)になった。ここでまた1名が疲労のため離脱した。輪行の支度をしているし,ツーリングの経験者ばかりだから残ったメンバーはあまり心配もしない。やがて,我孫子・柏に近づくにつれて途中で三々五々分かれていくメンバーを見送り出発地点の親水公園に着いたのは5時20分であった。Sリーダーの目指した4時半帰着とはならなかった。
149.78キロ,10時間45分の行程であった。今日ほど疲れたツーリングは初めてであった。それにしても,こうして軌跡をみるとSリーダーの頭の中にはGPSがいくつ入っているのかというほどの先導ぶりです。
カミさんと食べた道灌饅頭はもちもちした食感で旨かった。店頭で食べていたメンバーの,5個くらい食べちゃえるね〜に同感(道灌?!)ですね。芋せんべいは薄い割には堅くて,グラグラしかかっている奥歯にはちょっと負担であった。