シルバーウィークは別行動をしていたので,罪滅ぼしに(?)カミさんをハイキングに誘った。福島市の一切経山(1948m)と時間があれば東吾妻山(1975m)に登る予定だ。百名山の西吾妻山には幻滅したが今日はどうだろうか。一切経山は風が強いと言うことなので,カミさんにウィンドブレーカーを持って行くように助言した。これが効を奏することになった。5時半に出て,予想通り1000円で東北道の福島西を経由して磐梯吾妻スカイラインに入り,浄土平駐車場に着いて。スカイライン料金と駐車料金で2000円ほどかかったのには解せない気分だ。浄土平に近づくにつれて霧が濃くなってきたが,歩き始める頃には少し薄くなってきた。雨具の用意をしなかったが果たして大丈夫だろうか。ビジターセンターの脇にはりっぱな天文台があった。
歩き始めると目の前にそれは見事な紅葉の山々が迫ってきた。カーラジオでは那須地方が紅葉を迎えているといっていたが,ここでもお目にかかれるとは思っても見なかった。ガイドブックによれば一切経山はザレ場だらけの殺風景な山だと言うことであった。爺さん,婆さんの団体さんに混じって一切経山を目指した。風が強くて,少し肌寒いくらいの曇天だ。
道端にはシラタマノキが目につき始め,やがてクロマメノキに取って代わっていく。クロマメノキを摘んでみると,ブルーベリーの味だ。
やがて酸ケ平に到着すると,思わず歓声を上げてしまうほどの紅葉が迎えてくれた。赤はクロマメノキ,緑はササの色だ。バイオトイレを備えた避難小屋でショータイム。
曇り空なのでオオヤマリンドウも開いてくれないが,目指す一切経山の麓は素晴らしい紅葉だ。想定外の景観にカミさんも自分も言葉を忘れるほどだった。
しかし,そこからは森林限界を越えて緑は無くなり石ころだらけのザレ場と強い風が吹きすさぶ道程となった。頂上には大きなケルンがあり,何ともわびしい景色だ。自分の顔まで侘びしくなっている。
しかし,さらに登ってみると眼下には「吾妻の瞳」と呼ばれる五色沼のコバルトブルーと赤黄の紅葉の見事なコントラストの光景が出現した。どう見ても「魔女の瞳」じゃないよネ。
自分もウィンドブレーカーを纏い広々とした山頂を歩き回るが,吾妻小富士の方角はガスってしまっている。鎌沼方面も曇りの気配が迫ってきたので,下山することにした。
鎌沼のほとりで湯が湧く間にお約束のビールで乾杯して,前大巓の紅葉を愛でる。
腹も心も満腹になったところで鎌沼を巡って姥ヶ原にむかう。途中にチングルマを見かけたが,もはや盛りは過ぎていた。こんな樹木があの見事な紅葉を作り出しているのだ。
目指す東吾妻山は霧に隠れつつある。ひょっとしたら頂上では晴れるかもと淡い期待を持って登ることにした。が,残念ながら頂上からは全く景色が望めなかった。
早々に降りて,姥ヶ原にもどり木道を浄土平に進んだ。浄土平の手前での視界は10mもなく,クルマの音はすれどもビジターセンターすら分からない濃霧だった。
ベンチでコーヒーを淹れているあいだに霧は雨になり,帰りのスカイラインはおっかなびっくりの運転を余儀なくされた。雨具を持参しなかったのだが,危ういところであった。スカイラインの料金所がある高湯温泉の共同浴場のあったか湯に入った。料金はなんと250円であった。硫黄泉の白く濁った湯に浸かってのんびりと手足を伸ばした。
帰りは事故渋滞に巻き込まれ,帰宅したのは21時を回っていた。おでんをつまみながら至福の一日をビールで振り返った。