自転車トレーニング中に交通事故に遭い2か月半のあいだフィラデルフィアカラーを着けていた。本日のCT撮影で,目出たく,ドクターが「外しましょうか」との御宣託を出してくれた。万歳とばかりに病院から直接にカミさんと仙台秋保(あきう)温泉に癒しの湯に浸かる1泊2日のコトリップに出かけた。誕生日に息子1号が宿泊券をプレゼントしてくれていたので今日の日のために使うことにしたのだ。ついでながら結婚記念日をも兼ねたドライブ旅行となった。2ヶ月ぶりに握るハンドルはちょっと緊張した。車のバックのときに首を回すのに,首に筋肉が固縮してしまっていてちょっとした痛みがある。慎重に運転していこう。昼前に出発した常磐高速道は仙台の手前の工事でちょっと詰まったが4時間ほどで秋保温泉に着いた。
秋保グランドホテルにチェックインを済ませて,夕暮れと競争しながら,名取川上流の秋保大滝の見物に回った。県道62号を走ること20分ほどで駐車場に着いた。駐車場からそろそろ終い支度をはじめたお土産屋の並びを抜けると秋保不動尊を祀る西光寺があった。ホテルの夕食の時刻も迫っていたので不動尊を拝むのはパスする。本堂の脇を抜けて階段を降りると滝の展望台があった。そこから落差55m,幅6mの秋保大滝を眼下に眺めた。
ホテルにもどり慌ただしく温泉に浸かりカラーの外れた首のストレッチをする。お後は夕食のバイキング料理だ。新型コロナウィルス対策でフロントでの手指のアルコール消毒,マスクそしてプラスチック手袋の装着だ。面倒だが周りは我々を含めた中高齢の宿泊客ばかりだから仕方あるまい。まずはカラーが外れたことを祝っての乾杯だ。カニと仙台名物の牛タンなどをたっぷりといただいて,キッチリと,デザートを済ませた。満腹になったお腹が落ち着いたところで再び,今度はゆっくりと,湯に浸かった。2か月半の苦労が(自業自得だが)少しばかり癒されたようだ。
朝ご飯の前にホテルの裏手の名取川の磊々(らいらい)峡を散策した。すでに盛りは過ぎていたが晩秋の紅葉の中を奇岩を探しながら歩いた。
覗(のぞき)橋からは恋人の聖地とかの岩に穿たれたハートマークを見た。橋の上流にはあちこちに雪洞などが設置されていた。どうやらこのシーズンは磊々峡のライトアップが見られる様になっているようだ。ホテルで教えてくれれば見逃しはしなかったろうに,残念だ。
ホテルの朝食は欲張って和食と洋食をとる。味噌汁はちょっと味気なかったがご飯の美味しさに堪能した。
チェックアウトして,秋保・里センター(ビジターセンター相当)で秋保の情報を仕入れた。まずは秋保工芸の里を訪ねて木工品(箸,木べら)を買い求めた。そこの店員さんに教えてもらったスーパー「主婦の店さいち」でお萩(ぼた餅)を買った。このスーパーのお萩は有名で行列ができるほどであった。欲張ってあんこ,きなこ,ごまの2個入りを3パック買った。いずれもたっぷりのあん,きな粉,ごまで包まれていて,中の餅米も適度に潰されていた。ちょっと塩味が多すぎかなと思ったが幾つも食べるには適しているかもね。ついで,秋保ワイナリーも訪ねたがお値段が張っていたので見るだけでパスした。地ビールや地ワインは大いに興味があるが,無理な比較だろうが,3回のドイツ自転車旅行で体験した味とコストを考えるとチョットねぇ。
秋保の最奥の二口林道の仙台市秋保ビジターセンターを訪ねるために昨日の秋保大滝のコースを再び走った。昨日の滝見物の帰路に見た,レトロな橋が気になり立ち寄ってみた。橋は旧県道に架った石造りの2連のアーチ橋で昭和14年の小滝沢橋という。橋の通行はできなくて道路脇から眺めるだけだ。
さらに県道を進み,交互通行のスノーシェルターを抜けると仙台市秋保ビジターセンターに到着した。仙台市ではあるが宮城県境の寒村であった。夏はキャンプ場で賑わい,1365mの標高の大東岳の登山口もある。センターでの情報をもとに,二口(ふたくち)林道の宮城県側の最奥にある磐司(ばんじ)岩を見に行った。大東岳の噴火によって出来た長さ3km,高さ200mの柱状節理の崖は流石に見応えがあった。磐司岩の全貌をみるには二口峡谷の対岸の高台に登るひつようがあるとセンターの管理人さんに教えられた。親切な彼女にその壮大なわかる絵葉書をいただいた。二口林道をさらに進めば峠を越えて山形県に入って山寺の立石寺に至る。しかし,林道は11月9日に山形側の降雪で冬季閉鎖されたばかりだった。
もとの道を戻り,工芸の里で仕入れた情報を元に,昨日おとずれた秋保大滝の滝壺を見にいった。上から覗くとは大違いで,なかなかの水量の滝であった。
県道を温泉方面に戻り,国道48号線を走り山形県に入山寺の立石寺を訪ねた。途中に揚げたての油揚げが名物な西方寺に寄って行けと秋保工芸センターで教えられたが失念してしまった。山寺の手前で蕎麦屋の看板に惹かれて入った店は失敗だった。店の壁には蕎麦以外のあれこれのメニューが貼ってある。カミさんと「ここは手打ちの蕎麦じゃなさそうだね。新蕎麦の張り紙があるけどどうかな?」とひそひそ話をするうちに出てきた蕎麦はみごとに細さが整ったいかにも機械打ちのものだった。
カーナビの案内で到着した山寺は20年前の矢島カップMt.鳥海バイシクルクラシックの鳥海山ヒルクライムレースの帰路に立ち寄って以来であった。根本中堂を進むと松尾芭蕉と曽良の像が「いってらっしゃい,おきばりやす」と見送ってくれた。山門で拝観料を払って千段余りの石段を上る。退院してからすぐに散歩と室内での固定エアロバイクでリハビリテーションをやっていたので,ゆっくりと一定のペースでのぼる石段はそれほど辛くはない。20年前を思い出した,セミ塚わきの石段をさらに登っていく。
仁王門をくぐり開山堂から進んで五大堂に立ち寄る。五大堂からの景色を見て奥の院に参拝した。20年前にここまで来た記憶は残っていない。あの時は愛犬2匹を連れて来たのだが,あの暑い中を愛犬とともに登ったかどうかは定かではない。
帰りは東北道から磐越道を経由して常磐道に戻った。GoToトラベルのせいか,ホテルは繁盛していて立石寺の人並みもけっこうあった。しかし,奥仙台の秋保は晩秋に黄昏る大滝,早朝の磊々峡,散りゆく紅葉に聳え立つ二口峡谷の磐司岩が大いにからだとこころを癒してくれた。もちろんカミさんとの楽しいひと時は言うまでもない。
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