マイン川自転車道の旅(2014ドイツ自転車旅行−1)

 

はじめに

昨年(2013年)初めて実行したドイツ自転車旅行(ヴェーザー川自転車道ロマンチック街道自転車道)を今年も実行した。前年はドイツを南北に縦断する旅だったので今年は東西に横断するコースを検討した。自分はドナウ川を走ってみたかったがカミさんが「ドイツの自転車道で一番人気というマイン川自転車道を走ってみたい」と提案してきた。およそ600kmだから昨年のように一日平均50km走るとなると2週間もあればのんびりと走れそうだ。カミさんは更に「去年のように一ヶ月は居たい」というのでマイン川自転車道につながるコースを探した。マイン川はマインツでライン川に合流していることに目をつけて,昨年も参考にした「時速15キロの旅」のドイツの3川をつなげてみた。ざっと計算すると,マイン川〜ライン川〜モーゼル川〜ザール川自転車道の920kmを25日で走れそうだ。これに何ヶ所かで休日を加えて1ヶ月ののんびりドイツ自転車の旅を計画した。 今回の我々の4つの川の自転車道の旅はそれぞれ個別のブログ記事(マイン川自転車道の旅,ライン川自転車道の旅モーゼル川自転車道の旅ザール川自転車道の旅)として紹介することにする。これは須山夫妻の「時速15キロの旅」のコースをたどることになる。

Main book 2014ドイツ自転車旅行

昨年の旅を終えて増えた知恵の一つは防水パニアーだ。変わりやすい天候でカバーを着けたり外したりが面倒だったのでOrtlieb社のしっかりしたものを探した。Back-Roller Classicの前年モデルがドイツの通販(BIKE24)で€80.59で出ていた。カミさんはオレンジ,自分はブルーのパニアーバックを購入した。送料込みで€181.13プラス通関料・税金800円という安さだった。 もう一つはカメラ(パナソニック Lumix DMC-TZ40)だ。これも前年モデルのGPSとWi-Fi機能がついた20倍ズームのコンパクトデジカメだ。Wi-Fi機能を使ってカメラで撮影した写真をiPhoneやiPadに転送してFacebookやメールに添付する目論見だ。GPS機能は,電池消費が多すぎるので,実際にはほとんど使用しなかった。 現地での旅行費用として€4,000をあらかじめ€100以下の小額紙幣で両替して用意した。2014年6月19日のレートは¥140.90であった。昨年(¥133.00)よりもだいぶ円安になったものだ。これに昨年の余りの€680と合わせて€4,680を現金で持っていった。現金だと不安はあるが使った額がはっきり分かり,前途の目処を立てやすい。海外旅行保険は今回は掛けなかった。

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1日目(2014年6月25日):成田〜フランクフルト Frankfurt am Main

車に輪行袋に入れたバイクを積んで成田のパーキングに行った。車は1ヶ月の間預けることにした。フライトはルフトハンザ航空741便で機種はB747-400だ。3月半ばに予約した成田〜フランクフルトのエコノミークラスの2人分のフライト料金は昨年並の¥321.980であった。チェックインカウンターでは,ラッキーなことに,バイクの超過荷物料金は取られなかった。ところが,手荷物検査のときにカミさんはうっかりして(?)お茶のペットボトルを没収された。更に,機内持ち込み手荷物に入れてしまったビールの栓抜きのためのアーミーナイフも没収されてしまった。栓抜きは自分が別に持っていくので支障はないが,没収されたナイフはカミさんが友人からスイス旅行のお土産にいただいたものだ。ラッキーとアンラッキーが半々で出発となった。

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11時20分にLH741は成田を離陸した。およそ1時間後に関西国際空港に着陸して乗務員の交代と新たな乗客が登場してきた。13時35分に機はフランクフルトに向けて再び飛び立った。この関空経由のためにいつもよりも2時間ほど長いフライトとなった。 離陸して直ぐの機内食はオニギリの軽食だった。昼食ではビールで乾杯(Zum Wohl ! )して和食をいただいた。しばらくはパンと肉の日々が続くのだ。それにしても和食にパンが添えられているのはどうして? おやつの軽食はコーヒーとケーキが出た。夕食は,これも和食をいただいた。

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飲んだり,食べたり映画を観たり持参した本を読んだりして機内の時間を過ごした。「ドイツの都市と生活文化」はなかなか面白かった。1ヶ月の旅でいろいろ体験したが,そのうちのいくつかのものはこの本に出ていて「なるほど,フムフム,そっか〜」と思うことがあった。そうこうしているうちに17時30分過ぎにフランクフルトの上空にさしかかった。しかし機は旋回を繰り返しなかなか着陸しない。ようやく18時にフランクフルト空港に着陸した。

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空港ではバイクがなかなか出てこなくてインフォメーションで2度も訪ねた。前回とは別のドアから出てきたときはホッとした。組み立ててみるとカミさんのバイクの前ブレーキのシューが曲がっていた。あれこれと調整したがうまくいかず,とにかくホテルに向かうことにした。 Sバーンに乗るときに日本人の若夫婦が自販機を前に苦戦していた。前回の体験を生かしてお手伝いしてあげた。彼らは交通・宿を手配してもらってのライン川クルーズの個人旅行をするそうだ。我々はここを自転車で走ることになるなどと話して,フランクフルト中央駅で別れた。空港から中央駅までのSバーン料金は昨年より10セント値上がりしていた。

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今晩の宿泊ホテルのTopasは中央駅の近くにあり,あらかじめインターネットで予約しておいた。バイクはホテルのフロントを抜けて中庭に保管してもらった。ここでもカミさんのバイクのブレーキを弄ったがベストの状態には調整できなかった。まぁ,走り出して様子をみてみよう。夕食は機内で摂ったので,バスに浸かってサッパリして後は無料の無線LANをつかってメールなどをチェックしてから眠りについた。

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2日目(2014年6月26日):フランクフルト Frankfurt am Main〜バイロイト Bayreuth (7.87km)

7時に朝食を摂った。 このパン,チーズ,ハム,卵,コーヒーのスタイルの朝食がこれから1ヶ月続くのだ。体調のせいだろうか,昨年はどこでもドイツのコーヒーは濃厚で旨いと感じたコーヒーが今朝はいま一つだ。持参したポットにコーヒーを入れてくれるようにお願いした。

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フランクルフルト中央駅で車中で食べるお昼を調達した。自動券売機で時刻表を出力し,平日割引チケットと自転車持ち込みチケットを購入した。今回はドイツ鉄道のWebサイトで平日割引チケット(Quer Durchs Land Ticket)と休日割引チケット(Schönen Wochenende Ticket)をあらかじめ調べていったので,平日割引チケット2人分を€52(一人目€44プラス2人目以降5人まで各€8)で買うことができた。後になって気がついたが,この割引チケットの件は「地球の歩き方」にちゃんと出ていた。しかし自動券売機では通常切符の料金がデフォルトボタンになっているので,料金画面で割引チケットボタンを選択しなければならない。これに気がつかなかったために,昨年は列車の料金がまちまちになったということだ。出発する前に昨年の資料を調べてみたら,昨年はカウンターで買ったチケットは割引チケットで,券売機で自分たちで買ったチケットは通常料金チケットとなったことが分かった。自動券売機では英語画面が選択できるが,この英語画面では自転車持ち込みの画面が出てこない。ドイツ語画面にもどって昨年の体験を思い出して自転車持ち込みチケットを求めることができた。

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9時30分の定刻に2階建てのRE(快速列車)はフランクフルト中央駅を出発した。車内の駐輪も手慣れたものだ。1ヶ月後にはまたここにもどってくる町並みを2階席から眺めた。11時24分にヴュルツブルク中央駅に着いて11分後にバンベルク行きの列車に乗り換えた。お昼斎になったのでフランクフルト中央駅で買っておいたサンドイッチをホテルで詰めてもらったコーヒーと共に食べようとした。が,何と何と,出てきた液体はただのお湯だった。確かにコーヒーを詰めてくれ,と頼んだはずなのに〜。

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12時32分にバンベルクに着いて慌ただしく6分後に出る列車に乗り代えたた。列車は遅れることもなく13時55分にバイロイト中央駅に着いた。駅を出たところに自転車店があったのでカミさんの前ブレーキの調整を頼んでみた。一旦は調整できたというが,この手のブレーキには不慣れなようで前輪の回転を邪魔してしまっている。再び調整してもらって何とか動くようにはなったので宿泊先に向かった。€5の修理代を取られた。あらかじめインターネットで予約しておいた宿泊先を探してあちこち走り回ることになってしまう。

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やがて,ガストホフZum Herzogがマイゼル兄弟ビール醸造所とビヤ樽博物館 Maisel’s Brauerei und Büttnerei Museumの脇に見つかった。自転車を納屋に仕舞ってもらい,バイロイトの街並み探検に出かけた。

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街の歩道には至るところにワグナー Richard Wagnerのサインの一部のWのマークが見られる。午後の街中だがそれほどの賑わいはない。しかし,あと1ヶ月後にはバイロイト音楽祭でこの街が音楽の街になるのだ。 人通りに比べてクルマの通行量は多い。このクルマの走行音がうるさくてしようがない。路面が石畳なのでタイヤが「ブリブリ」と騒音を発するのだ。そして「えっ,こんなところにもクルマが入ってくるの」という具合なのでマルクト広場や路地を観光するにも注意が必要だ。

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バイロイトはブランデンブルク・バイロイト辺境伯のフリードリヒ(1711〜63)にちなんだ建物が残っている。世界遺産になっている辺境伯歌劇場 Markgräfliches Opernhaus(1846)を訪ねたが改修工事のために閉鎖中だった。2017年に再オープンの予定とある。入り口のホールのパネル展示とパンフレットで内部の様子を想像するしかない。

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1754年に建てられた新宮殿 Neues Schlossでオランダの絵画コレクションや陶器コレクションを見学した。我々はシニア割引チケットで入館できた。内部のコレクションは写真撮影禁止だった。明るい日差しと爽やかな空気が注ぐ館外の庭園 Hof Gartenは広く,散歩にうってつけのコースだった。

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庭園の外れにあるワグナー博物館 Richard Wagner Museumを訪ねたが,ここも改修中で見ることは叶わなかった。

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近くのフランツ・リスト博物館も閉館時間を過ぎていて見学できなかった。

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中央駅の近くまで足を伸ばしてみると,明日から走ることになるマイン川自転車道の標識が見つかった。マイン川(バイロイトを流れるマイン川は正しくは赤マイン川 Rot Main)の源流はここから23キロ上ったクロイセン Creußenにある。地図で見るとかなりな登りコースになるようなので探索には行かないことにした。

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マルクト広場に戻ってみるとなにやら野外劇場が設えてあり大勢の観客がビールなどを手にして集まっている。前方にあるのは舞台ではなく大きなテレビだ。のぞいてみるとサッカーのゲーム中継をしていた。そうだ,今日はブラジルでのサッカーワールドカップの予選リーグでドイツとアメリカのマッチがあるのだ。広場の周りのカフェーも路上にテレビを出して見せている。

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我々も,地球の歩き方お勧めの,オスカー Oskarに入ってカウンター席で観戦しながら夕食を摂ることにした。ビール,ソーセージそれにピッツァも旨い。試合の方はドイツがアメリカを降して店内は大騒ぎになった。

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宿に帰る途中の道路も閉鎖されていて大勢が集まり気炎を上げている。ポリスが見守る中をドイツ国旗を掲げてクラクションを鳴らして走るクルマがあちこちと走り回る。

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大通りを離れて古めかしいが威厳のあるバイロイト市民会館 Stadthalle Bayreuthの建物やバイロイト市教会 Stadtkirche Bayreuthを眺めながら宿に帰り着いた。時刻は20時30分だがまだまだ明るい。 シャワーを浴びて洗濯をして眠りについた。

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3日目(2014年6月27日):バイロイト Bayreuth〜クルムバッハ Kulmbach (57.39km)

時差ボケのせいで5時半に目覚めてしまったので近くを散歩した。7時に朝食を摂った。ランチ用にサンドイッチを作り,コーヒーをポットに詰めた。隣のお姉さんはタッパウェアーにサンドイッチを詰めている。食事の後でカウンターのおばさんに「外でピーヒョロ鳴いているクチバシが黄色で小さな黒い鳥は何と言うのか」とジェスチャー交じりの怪しげなドイツ語で訊ねた。すると通じたらしく,アムゼルだと教えてくれた。ついでにスペルを訊いて辞書で調べてみたら,Amsel クロウタドリ(ツグミの一種)とあった。この鳥は昨年の自転車旅でもあちこちで九官鳥が歌うようなさえずりを聴かせてくれた。片言ながらドイツ語が通じたことにちょっと自信をつけた。「ドイツの都市と生活文化」で,国際交流の始めは挨拶と質問,と読んでいたのを実行したわけだ。

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9時前にZum Herzogをスタートしてバイロイト中央駅の更に北にあるリヒャルト・ワグナー祝祭歌劇場 Richard Wagner Festspielhausに立ち寄ってみた。しかし,またもやリハーサル中で内部を見ることはできないと張り紙が。なんとまぁ,ついていないこと。これというのも「ニーベルングの指輪」のCDを聴かずに放っておいた天罰か。あと1ヶ月もするとバイロイト音楽祭が始まり街は大賑わいになるだろう。この旅を計画するときに,始まりをザール川のザールブリュッケンにしてバイロイトをゴールにしようかと考えた。だが,調べてみると7月25日からバイロイト音楽祭が始まることが分かった。7月22日前後のバイロイトの宿は取りにくくなるだろうし,とれても料金は高くなりそうだと考えて,バイロイトをスタート地点にする計画を立てたのだ。

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仕方なく中央駅まで戻り,昨日調べておいたマイン川自転車道に入った。ついてなかったバイロイトを背中に,マイン川自転車道の第1ページを開いて,さぁ自転車旅の始まりだ。この辺りの赤マイン川はまだ数メートルの川幅だ。

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麦畑の中を未舗装道路を走り,自動車道路と平行してペダルを回す。1時間も走ったところで小休止してお菓子を食べる。空は晴れ渡り,空気は乾いて爽やかだ。

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ノイエンロイト Neuenreuthで涼しげな脇道に入った。しかしコースはアウトバーンを横切らずにアウトバーンにそって森の中を続いていく。どうやら脇道は本コース(地図での赤線)ではなくバリエーションコース(地図での黄線)に入ってしまったようだ。まぁマイン川とは完全に離れ,遠回りにはなるがいずれ本コースに合流するから良いか。木陰のベンチでランチをとることに。

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ドイツ自転車旅行で初めてゴルフ場にお目にかかった。13時45分にカッチェンロイト Katschenreuthで本コースに合流した。あと1キロで赤マイン川と白マイン川の合流点だ。ノイエンロイトで脇道に入ったときは導標はクルムバッハを示していた。しかし,途中の道標が示す行き先を見れば別ルートに入ってしまったことが分かっただろう。今後は道標の地名と地図をよく照らし合わせて確認しよう。

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マイン川の合流点に到着した。いままで走ってきた赤マイン川 Rotmainと,バイロイトの北西20kmのビショフスグリューン Bischofsgrünに源を発する白マイン川 Weißmaiが合流したのだ。ここからマイン川 Mainが始まるので0.0kmポストが立っている。花崗岩を流れてきた白マイン川は白っぽく,ローム層を流れてきた赤マイン川は赤く濁って見える。

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マイン川合流点から30分ほどでクルムバッハ Kulmbachの街に入った。大きなビール工場がビールの街であることを示している。まずはインフォメーションで宿を紹介してもらおう。

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安い個人宿は市街からかなり離れた所にしか無いと言うので,比較的安い町外れのホテルを紹介してもらった。地図をもらって走り出したものの,大きな通りで迷子になってしまった。通りかかった体格の良いお姉さんが,親切にも,ホテルまで先導してくれた。が,その脚の速いこと速いこと。付いて行くのが大変だった。このホテルはお姉さんの帰り道の途中だったのだろうか。Danke schön. 紹介されたホテルChristlでシャワーを浴びて洗濯して,街に夕食を摂に徒歩で出かけた。

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街の丘の上には明朝訪ねる予定のプラッセンブルク城が見える。マルクト広場の市庁舎 Rathausは1752年のものとは思えないほどきれいだ。施療教会 Spitalkircheなどを歩いて回りマルクト広場にもどってアイスクリームを舐めた。

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6時の鐘が鳴るのを聴いたらお腹も鳴った。マルクト広場の一角のレストランで夕食を摂った。地ビールのピルスとドゥンケルビール,サラダと名物の焼きソーセージだ。粗挽きソーセージの歯ごたえが何とも言えない。そして香り高いドゥンケルが乾いた咽を潤した。

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4日目(2014年6月28日):クルムバッハ Kulmbach〜ミヒェラウ Michelau (42.75km)

今朝も5時に目が覚めてしまう。ちょっとウトウトしていると朝食の時間(7時)になった。今日もサンドイッチとコーヒーをゲットして9時にホテルを発った。中央駐車場脇の市民ホールの駐輪場にバイクを駐輪してプラッセンブルク城に徒歩で出かけた。市民ホール前にはバイク一台が入るロッカーを備えた屋根付きの駐輪場があったが,使い方が分からないのと雨も降らなさそうなので屋外に駐輪した。

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聖ペトロ教会 St. Petri Kircheの脇の急な坂道を登っていく。なんとこの坂道は22%の急勾配だ。自転車は通行禁止だがMTBで上がってくるライダーもいた。

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まずは城からのクルムバッハの街並みを眺める。

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城の中に入り,中庭 Schöner Hofから建物をぐるっと見渡す。

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城内には3つの博物館,ドイツ錫博物館 Deutsches Zinnfigurenmuseum,フリードリヒ大王武器博物館 Armeemuseum friedrich der Großeとホーエンツォル博物館 Hohenzollernmuseumそしてオーバーマイン地方博物館 Landschaftsmuseum Obermainに分かれている。せっかく額に汗してここまで来たのだからと3つの博物館を見学することにした。錫博物館だけが写真撮影はオーケーだと言われてまずは武器博物館・ホーエンツォル博物館に入った。武器博物館は12〜19世紀の甲冑,槍,刀などの展示だ。地方博物館の奥の部屋は魔女だの,拷問道具などが展示されたちょっと気味悪い部屋だった。両博物館ともにドイツ語の説明では理解しがたい。

ドイツ錫博物館は300,000体の錫人形と150の錫人形ジオラマをもつ世界最大の博物館という触れ込みだ。ナポレオンのワーテルローの戦い,第1次世界大戦,そして日本の川中島の戦いなどのジオラマが見られる。この錫人形の制作作業場も展示されている。

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博物館を見終わってお土産売り場でカミさんは友人へのお土産にチョウチョの錫のペンダントをいくつか買った。それを包んでもらっている間にわが家のお土産にと目に付いたブレーメンの音楽隊の錫の置き物を注文したら「ちょっと待て」と叱られてしまった。「ドイツの都市と生活文化」に書いてあったように,ドイツ人は一つに集中して仕事をするスタイルだから同時にいくつかの仕事はできない,という現実を目の当たりにしてなるほどと得心した。そういえば,レストランでウェイトレス・ウェイターがテーブルの片づけをしているときに注文を出しても,まず片づけを済ませてから改めて注文を取りに来たっけ。日本のように片づけをしながら注文を受けるなんて芸当は出来ないようだ。

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プラッセンブルク城を後にして市民ホールの駐輪場に戻ったのはお昼斎だった。石段に座ってサンドイッチとコーヒーで昼食を摂った。

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12時にクルムバッハをスタートしたものの,鋭角に曲がって橋の下を走るという標識を見落として直進してしまうというコースミスをして,元の市民ホールに戻ってしまった。小一時間のタイムロスをしてしまった。とにかく街を出るときは標識に気をつけなければいけないことは分かっているのだが…。ようやく本コースに出て白マイン川(クルムバッハを流れるのは合流前の白マイン川)にそって走ることが出来た。屋根付きの木橋も昨年の旅でも何回か渡ったが,今回も遭遇した。風情のある自転車道だ。

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2時過ぎてブルククンシュタット Burgkunstadtに入ったところで雨が降ってきた。マクドナルドを見つけてコーラを飲みながら雨宿りをする。しかし,雨は止む気配がないので宿泊予定地のリヒテンフェルスを目指して出発した。

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3時半にミヒェラウ Michelauという小さな街についた。雨は相変わらず降っていて気温もだいぶ下がってきた。なにせこの当たりは北海道よりも北だから道理だ。街の入り口の案内板で宿を当たってみると地図の宿泊リストにでているホテル In der Auが見つかった。訪ねてみると廃業したようであった。地図は2012年夏の最新版だが,この1,2年で廃業したのだろうか。もう一つのリストのBike+Bettを標榜している宿を訪ねてみると,5時までお休みとのことで留守だった。やむなく先に進もうとしたところにBike+Bettの看板を掲げたガストホフGoldene Kroneが目に留まった。ちょっと高そうだと思ったが,中に入って空き部屋を訊ねてみると個室トイレ・シャワーの朝食付きで€70というのでここに泊まることにした。

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熱いシャワーを浴びて冷えた身体を暖めた後は雨具を干したり,洗濯などの定例作業だ。一段落して街の散策に出かけた。宿の前はお定まりの教会だ。そして近くにはドイツ籠博物館 Deutsches Korbmuseumがあった。この辺りは籐の籠つくりで有名らしい。数メートルもある籠が博物館の前に飾ってある。

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6時過ぎに宿に戻り,階下のレストランで夕食を摂った。まずはビールで乾杯だ。この乾杯はカミさんの61回目の誕生日に向けてのものだ。よく分からずに注文した料理は厚切り豚肉にチーズとハムを挟んでグリルしたものであった。これはこれまでのドイツ料理ではかなり旨い部類に入るものだった。カミさんも大いに喜んで自分の注文したサラダとともに食べた。料理を運んでくれた宿の主人に「今日は妻の誕生日だ」と話したらカミさんに握手して祝ってくれた。

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カミさんが面白い観察結果を知らせてくれた。宿の亭主が下げたビールのグラスの洗い方だ。洗剤の入っているタブにグラスを逆さまにしてチャプチャプっと漬けてそのまま,水洗いもせずに,並べていたので驚いたと言う。 そういえば飛行機の中で読んだ小塩さんの「ドイツの都市と生活文化」に書いてあった。これもドイツ人のライフスタイルのようだ。皿やナイフ・フォークもこの調子なので時々は料理のカスがこびりついたりしている。

部屋に戻って,さきほどスーパーマーケットで買ってきたケーキで改めてカミさんの誕生日を祝った。

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5日目(2014年6月29日):ミヒェラウ Michelau〜バンベルク Bamberg (76.78km)

7時半に起きて宿の回りを散歩して8時半に朝食を摂る。その後で身支度をして宿代の支払いを済ませて9時半にスタートした。マイン川を渡り,鉄道とマイン川に挟まれて20分も走るとリヒテンフェルス Lichtenfelsに到着した。

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マルクト広場の市庁舎 Rathausの前には,ここにも,大きな籐の籠が置いてある。ここに駐輪して日曜日の静かな街を散策した。市門 Unseres Tor,旧市街壁 Alte Stadtmauer,市城 Stadtschloss,その脇の赤塔 Roter Turm,カトリック市教会 Katholische Stadtphanrrkircheなどを見て回った。この時間の観光客は我々のほかには見当たらなかった。

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10時半に,バリエーションルート上にある,バンツ修道院 Kloster Banzを目指して出発した。麦畑の向こうの山の上にバンツ修道院が見える。

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ロインドルフ Reundorfの村の教会前で,やはりバンツ修道院を目指すらしい,サイクリストの5人組みに出会う。ところがその先のルートを間違えたらしく,ダラダラと登ってきた道は下りに差し掛かってしまった。右手には先ほど見た山があるが修道院は見えない。しばらく下って,どうやら道を間違えたらしく引き返すことにした。戻ってみると山に登る未舗装道路があり,バンツ修道院への指導標があった。雨がポツポツと落ちてきたが林の中なのでそれほど濡れることもあるまいとそのまま登って行く。前方に先ほどロインドルフで見かけたサイクリストがバイクを押しながら登っているのに出会った。やがて登りは急になり,我々も押し歩きになった。格闘すること1時間で修道院の塔が見えてきた。このころ,雨は本降りに変わっていた。

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駐輪してトイレに行こうとして,大勢のお年寄りが駐車場から歩いてくるのに出会い,明らかにコースを誤ったことがわかった。我々が登ってきたのはハイキングコースであったのだ。とにかくもここまで来たのだからと修道院を見ることにした。しかし,内部は宿泊施設になっているようで,宿泊者以外は立ち入りお断りと言われてしまう。どこかに入り口はあるのだろうが修道院の博物館も教会も見る元気はもはや失われていた。

バイクを置いた所に戻ってバリエーションルートの指導標を見ると十四聖人 Vierzehnheiligenの方向が示されているではないか。ここへきて自分は,さきほど麦畑から見た山の上のバンツ修道院と十四聖人巡礼教会の聖堂とを混同していたことに気付いた。十四聖人巡礼教会聖堂はバンツ修道院(1719年)とは別物であることに初めて気がついたというわけだ。とにかく本コースに戻り先に進むしかない。雨の中をスピードに注意しながら本来のバリエーションルートを指導標に従って,20%の下り坂の交通標識のある道路を,下って行った。しばらく走ると先ほどのロインドルフのバリエーションルートの入り口に出たことに気付いた。なんのことはない,バリエーションルートを半周して戻ってきてしまったのだ。

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雨も上がったし,時刻も1時近いので道端のベンチでランチを摂った。食後に改めて道端の指導標を見ると十四聖人巡礼教会までは3キロ程である。カミさんを鼓舞してそちらに立ち寄ることにした。

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十四聖人巡礼教会に向かう途中で再び雨になったのでバス停らしきところで雨宿りをする。小止みになるのを待って出発すると丘の上に2つの尖塔が見えた。今度は間違いなく十四聖人巡礼教会だ。

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近くまで言ってみると大型バスが何台も停まっている。聖堂近くまでは急坂が続いて,またも押し歩きだ。1772年完成の聖堂の尖塔は改修中であった。パンフレットで見るとバロック調のこんなようなものだ。聖堂 Basilikaの内部は何かの行事の最中らしく,静粛にと注意書きがあってそのうえ撮影禁止だ。内部の様子は,昨年ロマンチック街道自転車旅で訪れた,ヴィース教会のようだと感じた。絵はがきではこんな具合だ。資料館には十四聖人のミニアチュアがある。その一人はバーバラという女性だった。ここ十四聖人巡礼教会もバンツ修道院も巡礼者が年間50万人も訪れるとか。とにかく,山の上や丘の上にあるので自転車で訪問は大変な地だ。

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十四聖人巡礼聖堂から降りてマイン川自転車道に戻ると巡礼者の部隊に出会った。彼らはバンツ修道院から十四聖人巡礼聖堂に向かうのだろうか。若い人も結構混じっていて観光旅行のようにも見えた。麦畑の中を走り,またまたコースをロスしたりしてようやくのことにバンベルグ市内に入ったのは5時半に近い時刻だった。

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マインードナウ運河を渡りレグニッツ川 Regnitzに掛かる橋を見つけて旧市街に入り,ようやくのことにホテルAlt-Ringleinにチェックインした。このホテルも,今日が日曜日でインフォメーションはお休みと予想して,事前にインターネットで予約しておいたものだ。このホテルは「時速15キロの旅」の須山夫妻が泊まったホテルらしく道路を挟んだ向かい側はビアホールレストランのシュレンケルラがあり,すでに路上にはジョッキをかかげた人々でガヤガヤと騒がしい。

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バスタブにゆっくりと浸かってサッパリとして「地球の歩き方」おすすめのレストラン・シュレンケルラ Schlenkerlaに繰り出した。この醸造所は1405年からの歴史を持つそうで,内部の天井の装飾は見事なもので時代を感じさせる。お目当ての薫製ビールのラオホビール Aecht Schlenkerla Rauchbierで乾杯する。料理はこのビールをかけながら豚のスネ肉をローストしたビアハクセ Bierhaxe (Schweinehaxe)とチキンサラダを注文した。ラオホビールは,予想が外れ,これまでに飲んでいたドゥンケルビールとそれほど変わりないように感じた。ビアハクセの方は付け合わせのジャガイモ団子とザウアークラウトと共に,こちらは予想以上に,旨かった。ビアハクセを食べ終わってみると確かにスネ肉であった。骨端軟骨が残っていたのをみると若い豚の下腿のようだ,なんて昔の職業気質が出たようだ。

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「ペーターのドイツ鉄道旅行案内」によると,世界遺産の街バンベルグは水の街でもあり,市内には3本の川が流れているという。旧市庁舎の下のレグニッツ川とマイン・ドナウ運河とそしてもう一本は「ビール」だそうだ。市民のお腹と市内の醸造所のビールを合わせれば川になって流れ出す,という。バンベルクは第2次世界大戦の被害に遭わずに済んだ。その理由は,水の街バンベルクは街中が靄にすっぽりと包まれることがよくあり,この靄が戦時中の空爆から街を守ったからだそうだ。

Rhein PeterBook

8時を過ぎているのにまだまだ明るいバンベルグの旧市街を散歩した。明日はここにもう一泊してバンベルグの休日を楽しむので,軽い散策にしよう。旧市庁舎 Altes Rathaus辺りをぶらついた。いつかBSの旅番組で見たような中洲に建つ旧市庁舎だ。

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川下のレグニッツ川の観光船乗り場まで足を伸ばしたところでホテルに引き返した。ホテルでは定例作業の洗濯を済ませてベッドに入った。外のシュレンケルラ界隈は寝られないほど騒がしくない。

それにしても今日は散々な日だった。何度もコースをミスして,おまけに雨だ。76kmを越える長丁場を文句も言わずに(そんな元気も無かったかも知れない)よくもまぁカミさんは走ってくれたものだ。

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6日目(2014年6月30日):バンベルク Bamberg (0.0km)

7時半に朝食を摂った。今日はバンベルクの休日だ。バイクはガレージに置いて足で市街を散策しよう。9時に大聖堂 Domに行ってみたのだが扉の前に立つ係員に「今日はダメ」と言われた。何かの儀式があるのだろうか? やむなく大聖堂の前に建つ新宮殿 Neue Residenzに足を伸ばす。新宮殿の中の見学は,見ても分からないとのカミさんの意見に従って,パスする。バラ庭園 Rosengartenに回ってみることにしよう。

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庭園はそれほど広くはないがそこからバンベルクの街並みが俯瞰できる。庭園に咲くバラの向こうにはミヒャエル修道院教会が見える。あそこを訪ねてみよう。

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新宮殿をでて聖ミヒャエル教会に向かう前に,大聖堂の隣の旧宮殿 Alte Hofhaltungを覗いてみた。ここは歴史博物館 Historisches Museumとなっている。中庭には野外劇場が設えてあった。

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ミヒャエル修道院教会 Kloster Michaelsbergは広々とした庭を持っている。修道院の中には入れなかった。その庭を囲む建物の中にはフランケン醸造博物館 Fränkishces Brauereimuseumがあったが月・火曜日は休館日だった。

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教会の裏側から丘を下りてレグニッツ川の方に散歩を進めた。Untere / Obere Sandstraßeには宮殿と見まごうホテル Residenzschloßや公文書館が建ち並ぶ。

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レグニッツ川の右岸に漁師たちが暮らす小ベニス Klein Venedigが見える。イタリヤのベニスにはほど遠いね,とカミさんと話しながらブラブラと歩く。

日が陰ってきて少し肌寒くなったのでホテルに戻ってウィンドブレーカーと傘を取ってきた。再び旧市庁舎のUntere Brücke(下橋)を渡り船着き場に行く。

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小ベニスの入り口にある古いクレーンの脇が遊覧船の発着場だ。11時発の遊覧船に乗ったがなかなか出発しない。どうやら故障らしく別の遊覧船に乗り換えさせられた。しばしのレグニッツ川,マインードナウ運河のクルーズだ。先ほど見てきた公文書館を裏側から眺めているうちに閘門に入った。門が閉じられて水位がドンドン下がっていく。再び前進を始めるとそこはマインードナウ運河だ。大きな客船が停泊している。乗船客はここからバンベルクの市内観光に出かけるのだろう。観光船はここからUターンして引き返し始めた。と,俄雨がザ〜っと降ってきてデッキの皆さんは階下に移ってしまった。我々は用意した傘をさして間近に小ベニスを眺める。まもなく,牛の彫刻がある大きな館(旧屠畜場,現在は大学の一部)わきの船着き場に戻ってきた。

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クルーズを楽しんだ後は昼食だ。イタリアンレストランでピッツァとスパゲティを食べた。ピッツァはまあまあだがスパゲティの茹で加減がいまいちだ。ドイツ人はアルデンテなんて知らないんだろうか,それとも日本だけ?

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食後は再び散策を続ける。今度は旧市庁舎のObere Brücke(上橋)を渡ってレグニッツ川とマインードナウ運河に挟まれた新市庁舎のあるHeumarkt(干し草市場)に足を向けた。レグニッツ川の急流にはカヤックの旗門が設定されている。見てみたいものだがカヤックが来る気配はない。晴れた青空に旧市庁舎のが映える。

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橋のたもとにはひどく傾いた建物があった。しかし,上の階の建物は真っ直ぐのようだ。 青物広場 Grüner Marktは,昨日は人出が多くてバイクを押して通らなければならなかったが,今日も聖マルティン教会 Pfarrkirche St. Martinの前にも露店が出ていて賑わっている。レグニッツ川の中洲のインフォメーションセンターを探し当てて入って見た。昨日は自転車を押してではとてもじゃないが,分かりにくい場所で,ここまでたどり着けなかったかもしれない。まだ見足りないが疲れたのでホテルに戻り,本を読んだり走行記録をまとめたりして休息した。

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三時間ほどホテルで休んでいると7時になったので夕食に出かけた。インフォメーションでもらってきた資料でホテルの前のレストラン Kachelofenに入った。相変わらずチンプンカンプン気味のメニューを見て注文したのは二人前のソーセージ,ベーコン,豚肉,タマネギの肉詰め,ジャガイモ,ザウワークラウトなどがフライパンに盛られたものだ。地球の歩き方によるとシュマンケールプファンドル Schmankerlphandleと言うものだ。ベークトポテトもホコホコでザウワークラウトの香料・酸味もほどほどで旨かった。しかし,なんといっても量が多いのには閉口する。

勘定を頼んだら釣り銭をやたらに細かいセントで出してくる。カミさんが,チップを要求しているんじゃない,というのでそのままチップで渡した。さすがに観光地ずれした街のレストランだ。この後はアイスを食べながらさらに辺りを散歩してホテルに戻った。

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ホテルでテレビを点けてワールドカップの決勝トーナメント1回戦の対アルジェリア戦を見た。延長戦にもつれ込んでドイツが勝ったときは外のシュレンケルラの路上がワ〜っと沸き立った。

7日目(2014年7月1日):バンベルク Bamberg〜シュヴァインフルト Schweinfurt (64.32km)

7時半朝食を摂る。ついでにランチ用にサンドイッチを作り,コーヒーをポットにゲットした。昨日は見学できなかった大聖堂 Domの見学時間は9時からではなく9時半からだった。再び新宮殿のバラ園に入りベンチで休んで時間を潰す。開場時刻となったので大聖堂の下に駐輪して内部を見学する。どこから来たのだろうか,我々と同じ自転車旅の先客が入っているようだ。大聖堂は1237年に再建した4本の尖塔と東西の内陣をもつ壮大な建物だ。

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中に入ると,明かり取り窓から朝日が射し込んで神々しさがいやが上にも高まる。

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見ごたえのあったものはファイト・シュトース Veit Stossの祭壇彫刻(1523年),バンベルクの騎士像(1235年),ハインリヒ二世皇帝夫妻の墓のリーメンシュナイダーによる彫刻(1513年)だ。

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20分ほどの慌ただしい大聖堂の観光を終わらせてバンベルクの街を出発した。向かい風だが空気は乾いて冷たくて気持ちが良いくらいだ。マイン川にそって走るが自転車道と川面は接近していてまるで川旅をしているようだ。

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2時間ほど走ったところでカミさんに「疲れないか休もうか」と問えば「トイレに行きたい」という。今年の自分のオシッコの近さは大幅に改善されたようだが今はカミさんと同じ状態だ。リムバッハ Limbachという村を過ぎたところに教会があって10人ほどのサイクリストが集まっていた。そこは,十四聖人巡礼聖堂のような,リムバッハ マリア巡礼教会 Limbach Wallfahrtskirche Mariaだった。教会の外には集会堂があり,そこの広場でサイクリストがアイスクリームを舐めていた。バイクを停めて見渡すと,教会の裏の墓地にトイレがあった。教会でトイレが使えるとは,昨年と今年の教会巡りで初めてのことだった。二人して用を足してホッとして我々もアイスクリームの販売車に行ってアイスを買って舐めた。巡礼教会の内部は,これまた,立派なつくりだった。

時刻はお昼斎だったので木陰のベンチでサンドイッチを食べた。

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1時前にツァイル Zeil am Mainを通過した。マルクト広場の回りのカフェーが気になるが先を急いだ。後に須山さんの旅行記を読むと,木組みの家の美しい家並みが続く街だったそうだ。

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麦畑の続く自転車道を走る。向こうからサイクリストがやって来るとカミさんも自分もニコニコして「ハロー,モルゲン」と挨拶を交わす。

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1時半に大きな街ハスフルト Haßfurtを通過した。

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トレーラーハウスが川岸に並ぶキャンプ場を抜けるとドイツ鉄道(DB, Deutche Bahn AG)が並走する真っ直ぐに延びる自転車道が続く。やがて麦畑とトウモロコシ畑の向こうに今日の宿泊地シュバインフルトが見えてきた。

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3時にシュバインフルト Schweinfurtに入り,インフォメーションで宿のCentral Hotelを紹介してもらう。

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シャワーを浴びて洗濯するという日課をこなしたら街の散策だ。シュバインフルトは第二次世界大戦で大きな被害に遭った。街の名前は豚(Schwein)と浅瀬(furt)から成っている。ホテルの食堂には中世の街並みの地図のコピーが掲げられていて,それを見ると家畜が川を渡っている光景が描いてある。インフォメーションの入り口に立つカラフルな豚のモニュメントが我々を迎えてくれた。

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マルクト広場では朝市の名残だろうか,まだ露店が開いている。広場に立つ銅像はここで生まれた詩人のF. Rückertだ。彼の詩はシューマンやマーラーの歌曲に使われているという。

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夕食はイタ飯屋でピッツァとサラダをビールで食べた。マルゲリータを注文したが,ここでも,バジルは使っていない。

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8日目(2014年7月2日):シュヴァインフルト Schweinfurt〜キッツィンゲン Kitzingen (72.03km)

7時半に朝食を摂る。自分はちょっと疲れ気味で軽めの朝食としたがカミさんの方はかえって元気で食欲は旺盛のようだ。サンドイッチをつくり,今日はポットにお湯を入れて紅茶をゲットした。

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9時前にホテルをスタートして街を出たものの,またもや,ミスコースして戻ってしまう。再スタートして30分ほどでガーシュタット Garstadtの原発の脇を通過する。ここで後ろから普段着のサイクリストの一団が我々を追い越していった。

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回りにはブドウ畑が目立つようになってきた。10時過ぎにヴィプェルト Wipfeldでフェリーに乗り左岸に渡る。「時速15キロの旅」の須山さんたちはここをずっと直進していったようだ。だからこの後の面白い所に出会えなかったようだ。

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左岸を10分も走るとシュタムハイム Stammheimの手前でジェット機が眼前に迫ってきた。と,思ったらそこは私設の戦争・歴史博物館だった。セイバー・ジェットやミサイルなどが野外展示されている。カミさんは興味なさそうなので,隣のカフェで一服することにした。コーヒーとケーキを頼んだら,マスターが「昨晩,妻が焼いたケーキだ」と言って大きなタルトを出してくれた。コーヒーもタルトも共に旨かった。

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ゾンマーラッハ Sommerrachまではず〜っとブトウ畑が続き,その向こうに建つ教会が緑のブドウ畑に映える。

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フォルクアッハ Volkachから橋を渡って右岸のアストハイム Astheimに立ち寄ってみる。ワイン農家があちこちにある集落だった。

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もとのコースに戻り,急な砂利道でバイクを押し上げる。自転車道が抜けていく村はワイン農家ばかりだ。

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ゾンマーラッハ Sommerachに入る。レストランの前の路上でワインを飲んでいるのを見て思わず咽が鳴るが夕食までお預けにしよう,噴水の前のベンチでサンドイッチを食べてランチとする。市門を出て左折しなければならなかったが標識を見落として直進してしまう。辺りに自転車道の標識がないことに気付き戻る羽目に。

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シュヴァルツァハ Schwarzach am Mainの街には壮大なベネディクト会修道士僧院大聖堂 Benediktinerabtei Münsterschwarzachがあった。新しい建物で大聖堂の内部もシンプルだ。

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ブドウ畑は終わり,一面の麦畑が続く。

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3時過ぎにキッツィンゲン Kitzingenに到着した。旧マイン橋 Alte Mainbrückeたもとに建つインフォメーションで宿を紹介してもらう。宿に電話をしてくれた係りのお嬢さんは「宿のフロントは昼休みだからもう少ししたらもう一度来てくれ。近所でアイスなんか食べたらどう」と言ってくれる。で,街でアイスを食べて一休みした。その間に折り鶴を作って再びインフォメーションに行く。係りのお嬢さんがホテルWürzburger Hofに連絡して予約を入れてくれたので折り鶴をプレゼントした。4時半にホテルにチェックイン出来た。

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日課を終わらせて街の散策に出かける。ホテルの脇にはファルター塔 Falterturmがあり,すぐ近くには壮大なペトリ教会 Petrinikircheが建つ。この教会は第二次世界大戦で崩壊し1950年に再建されたという。

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マルクト広場は広くはないが市庁舎はここでも立派だ。マルクト塔 Marktturmや姉妹都市広場 Platz der Partnerstädteをぶらついて旧マイン橋のたもとのレストラン Brücker Eckに入った。

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マイン川と旧マイン橋を見渡すベランダ席について白ワインで乾杯した。辛口(trocken)ワインはサッパリとしていて鼻にツンと来ない。黄金色に輝くマイン川の景色を眺めていると至福の時間がゆっくりと過ぎていき,幸せな気分に浸ることが出来た。料理が来る間にカミさんがスケッチを始めた。

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自分はシュニッツェルを注文し,カミさんの注文は何かはしかと分からないが,出てきたのはピッツァとマウルタッシェンの間の子ような料理だった。しかしそれはカミさんを喜ばせるのに十分だったようだ。よく冷えたおいしいワイン,適量のシュニッツェルとピッツァと涼しい川風と暮れ行く景色だ。ここキッツィンゲンはこれまでの自転車旅で最高の街となった。

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夕食後は旧マイン橋を渡り,岸辺の大きなベンチ椅子に座ってキッツィンゲンの街とマイン川を眺めて静かな一時を過ごした。

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それにしても今日の予定では57.5kmの行程なのに何で70kmオーバーにもなったのだろうか?

9日目(2014年7月3日):キッツィンゲン Kitzingen〜ビュルツブルク Würzburg (41.11km)

7時に朝食を摂るがどうもコーヒーが旨く感じられない。胃腸が疲れているのだろうか。ランチ用に軽いサンドイッチを作る。

8時半にホテルをスタートして旧マイン橋を渡り対岸を振り返ってみる。そこには静かなマインの川面にキッツィンゲンの街並みが映っていた。素晴らしい光景だ。この印象的な景色を心に刻んでキッツィンゲンをあとにした。

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自転車道を行く我々の前を何かが横切った。バイクを停めて辺りをうかがうと草の中に野うさぎがうずくまっていた。こんな光景に出会えるのも自転車旅でならでこそだ。

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キッツィンゲンから1時間ほど走った街でカミさんが「ちょっとこの街に立ち寄ってみよう」という。地図を見ればマルクトブライト Marktbreit am Mainという街だ。インフォメーションで案内パンフレットをもらって読んでみた。なんと,この街はアルツハイマー博士の出生地ではないか。「いずれは我々もアルツハイマー病でお世話になるかも知れないね」などとカミさんと話しながら市門をくぐる。尤も,『一過性アルツハイマー』は二人ともしばしば体験しているけど…。

街に入ると市庁舎から中世の街並みが続く。右手の木組みのホテル・ライオン Hotel Löwenの窓は花で飾られている。

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宮殿広場 Schloss Platzの宮殿 Seinsheimische Schlossはカフェー,ワイン酒場や図書館などになっている。隣は聖ニコライ教会 St. Nikolai Kircheだ。

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街をブラブラ散歩してみる。赤いとんがり屋根や青い円屋根の塔がある。そして最後はマラーヴィンケル Malerwinkelだ。堀に映える市門は絵に描いたように美しい。確かに,パンフレットが謳っているように「マイン川で最も美しい街の一つ」であることを実感させる光景だった。カミさんのスケッチにも熱が入る。

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古いクレーンが建つマイン河畔の自転車道に出て,マルクトブライトを後にした。須山さんたちがこんなすてきな街を見逃しているのは,彼らはキッツィンゲンからビュルツブルクまでメインルートとは反対側の川岸を走ったからだろう。次のオクセンフルトに入るにも橋を渡っているし,ビュルツブルクに入るにも橋を渡っていることからそのように想像できる。

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麦畑とブドウ畑を抜けてオクセンフルト Ochsenfurtに到着したのは11時前だった。街の名前は牛の浅瀬(渡河点)だ。まずはアイスカフェでアイスを買う。自分もカミさんもヘーゼルナッツのアイスが好物になった。

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木組みの家並みはこれまでに見たどこよりも凝っている。

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聖アンドレアス教会 Stadtpfarrkirche St. Andreasの内部は朱色が目立った。教会の外には赤ベコが…。

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橋を渡ってオクセンフルトを後にして右岸を走る。お昼斎になってマイン川岸の木陰のベンチでランチを摂る。ふと見ればマイン川で遊泳中の女性(美女?)が。晴れてはいるが川の水は冷たいのではなかろうか。カミさんの眼を盗みながらチラチラと眺める。

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自転車道は広くなり,やがて川岸に公園が続くようになってきた。1時半前に丘の上に見覚えのあるマリエンブルク要塞 Festung Marienburgが見えてきた。ビュルツブルクに到着だ。昨年訪ねたインフォメーションに行ってみると,移動したとの張り紙がある。張り紙の示す移転先に行って今晩の宿を紹介してもらおうとした。が,「もちろんインフォメーションではビュルツブルクの宿は紹介してくれるでしょうが,ここは大聖堂のインフォメーションなんですよ」だって。昨年は街の地図をもらっただけだったので分からなかったが,ツーリストインフォメーションは別の所にあるんだ。

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マルクト広場の一角にあるツーリストインフォメーションで宿を紹介してもらった。大きな街のホテルは概して高いが我々の希望する宿代はせいぜい€80(ツイン/ダブル,個室シャワー・トイレ,朝食付き)だ。紹介してくれたホテル Dortmunder Hofは朝食なしで€80だった。バイクは改修中の店舗のような所に置いてくれた。ショーウィンドからみるとバイクも売っている雑貨屋のようだ。

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日課のシャワーと洗濯を済ませて街の散策に出る。まずは何といっても今日の天候ではビールでしょ。ビールを飲みながら読んだ「地球の歩き方」の欄外に載っていたレントゲン記念館 Röntgen Gedächtnisstätteを訪ねることにした。ビュルツブルクは昨年のロマンチック街道自転車旅で十分に観光しているのでこの場所を選んだ。自分はかつての仕事でレントゲンには多いにお世話になったという意味合いもある。場所はちょっと分かりにくかったが,応用自然科学高等専門学校やいくつかの大学の学部の建物のなかに記念館はあった。

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レントゲンが1895年にX線を発見した実験室が保存されており,彼の論文,賞状そして私物などが展示されている。手のレントゲン写真を感慨深く眺めた。

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記念館を出たのは5時半だったがまだまだ明るいので旧マイン橋 Alte Mainbrückeを渡って左岸を散策した。

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橋を渡り戻して市庁舎に戻ってくるとそこでバンドの野外演奏が催されていた。レストラン・ラーツケラー Würzburger Ratskellerでフランケンワインを飲んだ。メニューにあった日替わり定食はタイムアウトだったので焼きソーセージとサラダで夕食を摂った。250mlの目盛りが付されたワイングラスに映る街が揺れている。お勘定でのおつりは当然のようにチップとして持っていかれた。ドイツの大都会では普通のことのようだね,とカミさん。

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ホテルに戻ったのは8時だった。散歩前のビールと夕食のワインのアルコールが効いたようだ。

ビュルツブルクは世界遺産があり,ロマンチック街道のスタートの街でガイドブックに紹介されている。しかし,昨日・今日のキッツィンゲン,マルクトブライト,オクセンフルトはもっと紹介されても良い街だ。

10日目(2014年7月4日):ビュルツブルク Würzburg〜ローア Lohr am Main (63.98km)

7時に市街のパン屋で朝食を摂った。 マルクト広場の朝市を抜けてホテルに戻り,8時半にホテルを出発した。

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1時間ほど走って川岸で一休みする。ワンちゃんを川で遊ばせる婦人を眺める。ウチで昔飼っていた犬を思い出してカミさんが「チロちゃんは水が大嫌いだったね」と話す。

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ツェリンゲン Zellingenで橋の工事に出会った。自転車道も通行止めになっていて市街へ迂回させられた。路端にパン屋を見つけコーヒーとパンで一休み。繁盛している店で,ひっきりなしに客が訪れる。みんなとても愛想よく挨拶を交わしてくれる。バスケットに赤ちゃんを寝かせて,赤ちゃんは大丈夫かというくらいに,さっそうと店に入る若奥さんが我々に自慢の赤ちゃんを見せてくれた。寄り道自由な自転車旅ならではのシーンだ。

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再びマイン川自転車道に戻る。川の向こうにはドイツ鉄道が走り,フランクフルトからバイロイトへ向かう車窓から眺めた,堆積岩の崖が見える。崖の上方にはブドウ畑が続く。麦畑を抜けると川の向こう(右岸)に街並が見えてきた。我々が走る左岸の丘の上にあるのはカールブルク城跡 Ruine Karlburgだ。地図をみると,右岸に見える街はカールシュタットだ。

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11時にカールシュタット Karlstadtに入った。インフォメーションで地図をもらって街を歩いてみる。この街も木組みの家が並んでいる。一通り眺めてカールスタットを後にした。

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12時半過ぎにゲミュンデン Gemünden am Mainに到着。ここでお昼を食べる。今日もこの陽気では文句なくビールでしょ。日替わり定食のオムレツを注文する。フワフワのオムレツならぬしっかりとした歯ごたえのオムレツだった。

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腹ごなしに街を散歩し,丘の上に見える城跡を訪ね城内には野外劇場が設えてあった。何が上演されるのだろうか。何もない城内だが城壁から見下ろすゲミュンデンの街並みは素晴らしい。

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3時ちょっと前に橋を渡り右岸の街にローア Lohr am Mainに着いた。インフォメーションで今晩の宿を紹介してもらう。街の中心からちょっと離れたガストホフ Küferstudeにチェックインした。シャワーを浴びて,ツーリングウェアのジャージー・レーサーパンツなどの洗濯をして街の散策に出かける。

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聖ミヒャエル教会 Stadtpharrkirche St. Michaelを眺めながらメインストリート Hauptstraßeを歩いて街中に入る。インフォメーションでもらったパンフレットを開いてみると,リンゴの入ったバスケットを持ったお嬢さんが描かれている。「これ白雪姫?」とカミさん。街にはそんな雰囲気は感じられない。帰国後に調べてみると,ローアはグリム童話の白雪姫の舞台になった街を標榜している。どうも無理やりって感じだな。

それはともかく,街は木組みの家並みがそこかしこに見られる。カミさんは路上で立ち話をするおばさんに興味を引かれたようだ。どこがかというと,巨乳・巨尻の目を見張る体格だ。ところがこの体格の婦人や男性は昨年も今年もドイツのあちこちで普通に見かけた。日本の肥満体なんてもんじゃないデス。

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木組みの家並みからちょっと離れたところに市庁舎が建っている。近くの薬局の温度計によると,4時現在で気温は33℃だが湿度は39%だ。ビールが旨いわけだ。

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宿に戻って夕食を摂る。宿の名前 Küferstubeはワイン樽職人の部屋という意味だ。ワイン農家が経営している宿だろうかと,期待してフランケンワインの中辛を試した。ウ〜〜ン,旨い。舌にまろやかな甘味が広がり,鼻からフゥ〜っと抜ける。カミさんも堪能したようだ。料理はというと,カミさんはパテ入りのパフィを,自分はウィンナーシュニッツェルを注文した。カミさんは注文が大当たりで大喜び。自分のシュニッツェル(薄い豚カツ?)もなかなかでフライドポテトはホクホクだ。

我々は朝はチーズ・ハム・ジャム塗りのパン,昼はビール,夜はワインと肉料理・ポテトの食事を続けているが,毎日50km程を走っているせいか体重はほとんど変わっていない。ドイツ人のサイクリストもよく見かけるが,やはり立派な体格だ。自転車で痩せようとか,ダイエットしようとかとう意識はドイツ人にはないのだろうか。

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と,食堂の隣の部屋から歓声があがった。ウェイトレスのお嬢さんに聞いてみると,サッカーワールドカップでドイツがフランスゴールを破ったそうだ。自分たちもViva Deutchlandとドイツチームを讃えた。

11日目(2014年7月5日):ローア Lohr am Main〜ヴェルトハイム Wertheim (47.43km)

ちょっと遅く8時に朝食を摂る。ランチにとサンドイッチを作り,コーヒーをポットに詰める。9時半に宿を出発した。旧マイン橋 Alte Mainbrückeでカミさんがスケッチをするという。写真を撮るとこんなだが,スケッチはだいぶ視点が違うようだ。

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10時半にエアラッハ Erlach am Mainを通過する。我々が通るのに驚いたのか,なにやら目つきの悪い水鳥とアヒル・白鳥の合いの子のような水鳥が岸から対岸のノイシュタット Neustadt am Mainに泳ぎ渡っていく。お陰で水に映ったきれいな修道院 Kloster Neustadtの絵が崩れていく。

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11時前にツィンマーン Zimmernから対岸(右岸)のローテンフェルス Rothenfelsの街とローテンフェルス城 Burg Rothenfelsの美しい景色に見とれてペダルを停める。この辺りのマイン川は蛇行を繰り返すのでローアからは南に向かっていく。そのために地図では下方に向かって進んでいくことになる。で,左岸と右岸の判定に頭を切り替えなければならない。地図を進行方向に合わせると文字が逆転して読みにくくなる。ちょっと困惑してしまう。

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11時半にマルクトハイデンフェルト Marktheidenfeldに入った。インフォメーションで案内パンフレットを貰っている間に雨がパラパラと降ってきた。大したことはなさそうなので旧市庁舎 Alte Rathaus前のしゃれた駐輪スペースにバイクを置いて街の見学だ。

カミさんのサングラスが壊れてしまったので街の眼鏡屋に入る。あれこれ試して,アディダスのサングラスがとてもフィットすることが分かり,それを買うことにした。ところが「値段は€169だが良いか」と店員に訊かれてカミさんは躊躇するが「良いものはこんなものだろう,買おうよ」と太っ腹なところを見せた。

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マルクト広場 Marktplatzの外れに何やら大声や笑い声が聞こえてきた。行ってみるとマラソン大会が開催されているようだ。老若男女が通過するたびに激励(?)の声援が飛ぶ。

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ランナーが通過したところで聖ローレンティウス教会 Pfarrkirche St. Laurentiusを見学する。

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旧マイン橋 Alte Mainbrückeを背中にマルクトハイデンフェルトを後にした。

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ブドウ畑の傍を走り,1時過ぎにホムブルク城 Homburgが丘の上に見えてきた。ホムブルクの川岸でランチを摂った。

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ウルファー Urpharを過ぎるとマイン川は右に大きくU字形に曲がる。やがてヴェルトハイムの街が見えてきた。

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2時20分にヴェルトハイム Wertheimに入った。ここはマイン川とタウバー川 Tauberの合流点だ。

インフォメーションでホテル Tauber Ketteを紹介してもらう。ホテルの裏にはタウバー川に面している。タウバー川といえば昨年のドイツロマンチック街道自転車道の旅でローテンブルク Rothenburg ob der Tauberを訪ねたが,ここまで流れて来ているのを見るとちょっと感慨深い。

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日課を済ませたら4時半だ。街の散策に出かけることにした。マルクト広場を木組みの家並みが囲んでいる。

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キリアン教会 Kilianskapelleに入ってみる。

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今日は日曜日なので飲食店以外の店はお休みだ。明日の飲料水をどこかで確保しなければならない。カミさんの鼻が郊外にスーパーマーケットがあるはずだと教えている。地図を見ると駅の更に向こうに大型ショッピングセンターがあるらしい。行って見ると日本のコストコのようなスーパーマーケット Kauflandがあった。ここでワインの小瓶2本,鶏モモ焼き,ハンバーグ,ソーセージ,サラダなどを買ってホテルの部屋で夕食に供することにした。

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ユニークな形のフランケンワインの瓶はボックス・ボイテル Bocksbeutelというそうだ。Bockは雄ヤギでBeutelは袋でヤギの陰嚢となる。このワインもなかなかの味わい,更に夕食の食べ物もクールだった。

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このホテルでは無料のWi-Fiが使えたので,食後は二人して明日・明後日の宿をネットで探した。予定では明日はクリンゲンブルクに投宿するつもりだったが使ったアプリではどうやっても予約ができない。ほかのアプリで探してみるとお目当ての宿が出てこない。で,クリンゲンブルクの先のエーレンバッハに宿を取ることにした。ついでに,明後日のハーナウの宿も予約出来た。これで明日,明後日はインフォーメーションの閉鎖時刻を気にせずに旅することが出来る。

10時なってようやく陽も沈んだのでヴェルトハイム城の夜景を見に出かけた。城はライトアップされていて良い雰囲気だった。カミさんの手を握ったら「なにバカやってるのヨ」と一蹴されてしまった。城から見るマイン川とヴェルトハイムの街が夕闇に浮かんでいた。

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同じくライトアップされていたキリアン教会の脇に降りてきて宿に戻ったのは11時だった。今日は珍しく夜更かしをした。

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12日目(2014年7月6日):ヴェルトハイム Wertheim〜エーレンバッハ Erlenbach am Main (62.77km)

7時半にタウバー川に面した食堂で朝食を摂る。サンドイッチを作り,ポットにお湯を入れてもらい,紅茶をゲットした。

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フロント係りの小父さんは愉快な人で,フロントを不在にするときのお知らせカードを各国語で用意している。その中の日本語は「私は右にいます」となっている。英語の案内カードから類推すると「すぐ戻ります」が適当なので訂正してあげる。タウバー川からの景色を撮影して,9時にホテルをスタートする。

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昨晩訪ねた城にもう一度登ってみた。日差しを浴びたヴェルトハイムの街並みが輝いている。

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キリアン教会 Kiliankapelleに入ってみるとベルリンの壁に関する展示があった。1975年にカミさんとワルシャワからベルリンの友人を訪ねて市内観光で現役の「壁」を観光したのはずいぶん昔のことだ。そして「壁」が崩壊した年にいまの住所に引っ越してきたのだ。そんなことを思い出しながら写真を眺めた。

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10時過ぎにマイン川の右岸に渡った。マイン川の船着き場の向こうに建つヴェルトハイム城に別れを告げてヴェルトハイムを後にした。

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30分も走ったところでデッキが牧場や森を装った愉快な船に出会った。船のスピードはゆっくりで我々のバイクでもすぐに追い越してしまう。

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11時にドルフプロツェルテン Dorfprozeltenの船着き場で小休止を取った。さっきの愉快な船が追いついてきた。

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マイン川の左岸の街キルシュフルト Kirschfurtで咽の渇きに我慢できずにビールで癒す。こんなカミさんのおちゃめな笑顔を帰国しても見たいものだ。生ビールのつまみはソーセージとフライドポテトだ。カレーソーセージを注文したはずだが普通の焼きソーセージだぞ?! ついでにホテルでつくったサンドイッチも食べてしまう。隣の小父さんがツーショットを撮ってくれた。ヨーロッパでも危なくてカメラを託せない国もあるようだが,ここドイツはいまのところ不安に思ったことはない。

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コース脇に建つレンガつくりの工場を通過すると自転車道は大きな駐車場に入った。駐車場の上は大きな市門を持つマイン橋だ。マイン川岸にミルデンブルク城 Mildenburgが建つ「マインの真珠」と謳われるミルテンベルク Miltenbergに1時半に到着した。

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エンゲル広場 Engelplatzはお祭りの最中だ。いろいろな国の食べ物のブースが並ぶ。 さっきランチをたっぷり摂ったので横目で眺めるだけだ。

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観光客でごった返すメインストリート Hauptstraße をダブルアイスクリームを舐めながら散策する。木組みの家並みが続く。ツム リーゼン Gasthaus zum Riesenはドイツで最も古いホテル(1590年)だとか。

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麦わら細工だろうか,民芸品のお土産を眺めながら噴水があるマルクト広場 Marktplatzへと歩く。マルクト広場では人並みはぐんと少なくなった。このマルクト広場はドイツで最も美しいマルクト広場の一つと言うが,これまでにさんざんマルクト広場を見きたからだろうか,それほどの印象は感じない。

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市博物館 Museum Stadt Miltenbergとヤコブ教会 Pharrkirche St. Jakobusの観覧はパスして宮殿小路 Schlossgasseを登ってミルデンブルク城 Mildenburgに行く。ミルテンベルク城じゃないのでややっこしいい。

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城壁から眼下に望むヤコブ教会とその向こうの旧市街とマイン橋 Mainbrückeが美しい。左手をみるとマイン川が優雅にカーブしている。。城の庭を見てバイクを置いたエンゲル広場に戻る。

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ずいぶんとのんびりして3時にマインツァー門 Mainzer Torを抜けてミルテンベルクを後にした。右岸の本コースでなく,左岸のバリエーションルートを走る。

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途中で橋を渡り右岸のバリエーションルートを走る。3時45分にクリンゲンベルク Klingenberg am Mainを通過した。ワインの街らしく教会の背景のブドウ畑が絵になる。

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ちょっとスピードアップして走り,4時過ぎにエーレンバッハ Erlenbach am Mainに入った。カフェーで水分を補給してインフォメーションを探すが日曜日とあって市庁舎も閉まっている。市街図を見ても宿の場所がわからない。市庁舎前の噴水で子供たちを遊ばせている夫婦に訊ねるがドイツ語が十分に理解できない。それで地図の前まで来てもらってようやくホテルの場所が分かった。

ホテルTannenhofは町外れにあった。ホテルは閉まっていて呼び鈴を押すと向かいの家の二階からおばあさんが顔を出して「下にあるキーボックスから1号室の鍵をとれ」という。バイクはどこに置いたらいいのだというと「そこのガレージに入れろと言う」。荷物を部屋においてそのままの格好で街までバイクを走らせて夕食を食べに行く。

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近くのスーパーマーケットが朝の7時に開くことを確認してレストランを探す。自動車屋の二階のプール・バー兼スポーツTVバーのテラスでワイン,ピッツァ,サラダを注文した。甘口のワインは極上に感じた。次いでヴァイツェンビールを飲んでしまう。子供連れの夫婦がテラスに設えられた砂場で子供たちを遊ばせている。日曜日の夕食を楽しむ家族の光景は日本でもドイツでも変わりない。

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7時にホテルに戻り,日課をこなした。その後は家族,友人に向けて絵はがきを書いた。歯槽膿漏だろうか歯がいたくて耐えられないので痛み止めを飲む。

夜中に雷がゴロゴロとなって台風のような大雨,大風が吹いた。明日は走れるだろうか。

13日目(2014年7月7日):エーレンバッハ Erlenbach am Main〜ハーナウ Hanau (68.90km)

昨日のあのおばあさんが朝食を賄うのだろうかと心配しながら食堂に降りてみると,ちゃんと朝食が用意されていた。係りは別の人が担当していて,ほかに一人の客がいた。食堂の窓際には盆栽が置いてあるがどうも造花のようだ。窓から見る芝生はしっとりと濡れてはいるが雨は降っていない。やれやれだ。ランチ用にサンドイッチとコーヒーをゲットした。

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9時半にホテルを出発して,調べておいたスーパーマーケットで水を買った。鉄道がすぐ脇を走る狭い橋を渡り左岸の街ヴェルト Wörth am Mainに入って本コースに戻る。

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名前は分からないが赤い花の咲く樹木を眺めながら11時過ぎにはニーデルンベルク Niedernbergに入ったところに簡易郵便局を見つけた。昨晩書いた絵はがきを投函してもらう。日本への航空便は75セントだ。町外れに犬の訓練学校があった。その脇の小さな公園で小休止をとる。

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自転車道は林の中を抜けて続く。これは何という花だろう。今にも降り出しそうな天気はなんとか保たれてはいる。走りやすい気温だが,この林の自転車道には小虫がブンブン飛んでいて目に入ってくる。サーフェスも未舗装になったりブロック敷きになったり,舗装路が木の根っこで凸凹になっていたりして非常に走りにくかった。

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11時45分,ヴィリギス橋 Willigisbrückeの向こうに大きな宮殿(城)が見えてきた。あれがアシャフェンブルク Aschaffenburgのシンボルのヨハニスブルク宮殿(城)Schloss Johaninisburgらしい。

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橋を渡って直進して出くわす建物はバロック風のシェーンボーン宮殿 Schönborner Hofだ。現在は自然科学博物館 Naturwissenschaftliches Museumになっている。昆虫,鳥類,植物,鉱物が展示されているらしいがちょっと興味がないのでパスする。

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宮殿広場 Schloßplatzのインフォメーションで案内パンフレットを貰いヨハニスブルク宮殿(城)に向かう。城は1605〜14年に建てられ,マインツ司教の第2宮殿となっていたが現在は宮殿博物館 Schloss Museumになっている。月曜日とあって休館だが開いていてもパスするだろう。中庭に入って見渡した感想は「何とまあ司教さんは贅沢をしたものだ」。当時の聖職者の権力の大きさを目の当たりにした。

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広場のベンチでランチをとった後は,インフォメーションで勧められた,宮殿庭園 Schlossgartenに行ってみることにする。思ったよりも樹木が多く涼しげな庭園だ。奥にはローマ様式の,ルートヴィッヒ1世が1840〜48年に建てた,別荘ポンペイアヌム Ponpejanumがある。ここも月曜日とあって中には入れない。

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庭園をでて市街に戻る途中の教会と道路を挟んで建つモダンな教会の対比が面白い。

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バロック様式のファサードと13世紀のロマネスクーゴシック様式の8角形の塔が素晴らしい聖マリア カトリック教会 Muttergottespharrkircheに入ってみた。天井のフレスコ画に目を見張る。

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ローマ様式,ゴシック様式,バロック様式の入り交じった12世紀のシュティフト教会 Stiftskirche St. Peter und Alexanderを眺めながらヴィリギス橋の下をくぐってマイン川自転車道に入る。1時にはアシャフェンブルクを後にした。

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2時25分にデッティンゲン Dettingenで右岸を走ってきた自転車道は左岸に渡る。その小さな橋の標識は歩行者・自転車はオーケーだが馬はダメとある。

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15分も走ったところでゼーリンゲンシュタット Selingenstadtに着いた。ここはドイツでも最も古い町の一つでローマ時代からの都市ということだ。アインハルト・バジリカ Einhard-Basilikaが街のシンボルだ。アインハルトはフランク王国のカール大帝の臣下であった人物とか。

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バジリカの隣はかつてのベネディクト大修道院 Ehemalige Benediktinerabteiだ。内部は修道院博物館になっているが,見学はパスする。

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マルクト広場に行き,市庁舎で案内地図を頼んだが,無い,と言われた。街人に訪ねたら道路の向かいのアインハルト・ハウス Einhardhaus(1595年)を教えてくれた。そこがツーリストインフォメーションだった。

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広場でアイスクリームを食べる。市庁舎の前にはまだマイバウム Maibaumが立てられていた。市庁舎の裏の中庭を囲む木組みの家の向かいに建つのは1187年のローマ風の家 Romanische Hausだ。

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3時半にゼーリンゲンシュタットを出発して30分も走ると,またも,原発が見えてきた。ドイツは2020年から原発を廃止していくと宣言したのだが。

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さらに15分も走ると対岸のグロスアウハイム Großauheimの石造りの美しい教会が見えてきた。こんなにも都市の近くにさっきの原発があるのが,福島の惨事を見ている我々には,信じられないくらいだ。案内板を見ればここからはハーナウまで6キロそこそこだ。

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更に10分先のシュタインハイム Steinheim am Mainでお伽話のようなシュタインハイム城 Schloss Steinheimの下を通過する。

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5時前にシュタインハイム橋 Steinheimer Brückeでマイン川を渡ったがハーナウ Hanauの市街へ行く道が分からない。予約してあるホテルの場所を何回も訊ねてとにかくホテル近くのマルクト広場を目指す。

なんとかマルクト広場にたどり着いて市庁舎前のグリム兄弟のモニュメントと対面できた。足下にはハーナウからブレーメンまでのドイツメルヘン街道の起点を示すプレートがあった。昨年はカッセルを出発点にクークスハーフェンまでのドイツメルヘン街道(ヴェーザー川自転車道)を旅したことを思い出すと感慨深い。

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市庁舎裏でインフォメーションを見つけ市街地図を貰ってホテルを探すが,マルクト広場の周囲ををぐるぐる回ってしまう。街人に何度か訊ねてようやくホテル Royalにチェックインできた。部屋のベッドの大きな濃紺のリボンが迎えてくれた。

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日課のシャワーと洗濯をこなして夕食を摂るに街へ出る。さっきまであれほど賑わっていた街は人気が少なくなっていた。これだけ大きな街だとアジア料理を標榜するレストランもあるがカミさんはどうも興味はないらしい。スーパーマーケットを覗いてみると寿司パックが置いてあった。自分はその寿司を,カミさんはサラダをチョイスしてホテルの部屋で食べることにした。それとビールを買ったことは言うまでもない。寿司に付いていた絵の具のような不気味なワサビの辛いこと。シャリはグチャグチャだが酢の味はする。のり巻きの海苔もそれなりだ。ドイツ人はこんな寿司をたべているのか。あぁ,自転車仲間の蛇の新さんの旨い寿司が食べたい。

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メルヘンを期待したハーナウの街は騒がしいだけしか感じなかった。郊外に出ればフィリプスルーヘ城 Schloss Philippsruheがあるというがもはや訊ねるには遅すぎるし,70キロ近く走ってきたので疲れていた。多分,明朝もこの城は訪ね無いだろう。街に旧市街がないことも落ち着かない一因だろうか。

14日目(2014年7月8日):ハーナウ Hanau〜ホッホハイム Hochheim (67.93km)

7時に朝食を摂り,ランチ用にサンドイッチを作り紅茶とお湯をゲットした。8時半にホテルを出発するとすぐに雨が降り出した。雨支度をして走り出すとマイン川を示すR4自転車道の標識が見つかったのでそれに従って走る。いとも簡単にマイン川に出たがR4はマイン川の右岸を走る。いずれ橋があるだろうからそのままR4自転車道を進む。

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9時過ぎにデーニヒハイム Dönigheimでフェリーに出会って左岸に渡る。見慣れたマイン川自転車道の標識を発見してホッとする。

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10時前ににオッフェンバッハ Offenbach am Mainに入る。市門の上はオッフェンバッハ芸術造形大学になっていて,校庭の向かいにはイーゼンブルガー城 Isenburger Schlossが建つ。城は1576年に神聖ローマ帝国のイーゼンブルク伯が建てた。オッフェンバッハのシンボルともなっている。

オッフェンバッハは第2次世界大戦で36%が崩壊し,旧市街がそれに入っていた。倒壊しなかった建物も戦後に戦後に再開発された。お陰で街には近代的なビルが林立しフランクフルトを思わせるようになっている。

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ともかくもマルクト広場に行ってみた。朝市が立っていたのでしばしあちこちを見て回る。木工細工の店,ジャガイモ,ハム・ソーセージ,チーズの種類は多い。カミさんは,団子より花で,花屋の方が良いらしい。

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広場の一角のカフェーでカプチーノを飲んで一休みする。トイレの番人の小父さんと英語とドイツ語で「日本人か,どこからきたのか,どこまで行くのか,福島は大変なことだったなぁ」,「東京の近くから,ライン川・モーゼル川・ザール川の一ヶ月自転車旅だ」などなどと立ち話をする。「ドイツ語が上手だがどこで習ったのか」,「テレビの番組」などなど。冠詞は無視して,知っている単語を並べるとこんな具合に国際交流が出来た。カミさんは,なかなか戻ってこないので心配した,という。とにかく今回の旅では特に挨拶,笑顔,片言でも質問,会話をすることを心がけた。前回よりも豊かな旅が出来ている気がする。

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11時過ぎにオッフェンバッハを後にした。やがて自転車道の脇に緑の公園が出てきた。向こう岸には近代的なビルが見えてきた。フランクフルト Frankfurt am Mainだ。街は小雨に煙っている。バイロイトをでて12日かけて戻ってきたのだ。

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近くに雨宿りするところもないので橋の下で立ったままのランチを摂った。昨年の旅でフランクフルトは十分に回っているし,あと半月後にはまた戻ってくるのだから今日のところはこのくらいで我慢しよう。

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1時過ぎにジントリンゲン Sindlingenの斜張橋を渡り左岸に。

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オクリフテル Okriftelの手前の川岸に動く奇妙な動物をカミさんが発見した。ビーバーじゃないか?! 通りかかったドイツ人のサイクリストがビーバーだと教えてくれる。えぇ〜,こんな民家が近いところに野生のビーバーかよ〜,と二人でびっくりする。カミさんが近づいても逃げる様子はなく,一心に草を食べていた。しかし,ビーバーに特徴的なオールのような尻尾が無い。後で調べてみたら,どうも帰化動物のヌートリアのようだ。オレンジ色の歯が見えれば同定できるのだが写真には写っていない。

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3時になっても雨は止まないので予定のマインツ泊まりは止めて,地図の宿リストからフレールスハイム FlörsheimのBett & Bikeの宿を当たってみた。行って見ると今日は営業していないという。そこの主人が5km先のホッホハイムのホテルをインターネットで探してくれて電話で連絡してくれた。親切な小父さんの子供にソイジョイを上げたがあまり喜ばれなかった。

5kmというホッホハイムまではもっと遠く,50分かかってブドウ畑の丘の上の市街に入った。プリントアウトしてくれた大ざっぱな地図とホテルの名前を頼りにあちこちで聞いてみたた。濡れたレインウェーのままでブライダルショップに入り込んで訊いてみてようやく分かった。

ホテルはさらに郊外にあり16時25分にようやくホテルMain Taunusにチェックインした。泊まり客は我々だけのようだ。裏手が自動車道で交通量が多く騒がしい。

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濡れたレインウェアーを干して日課のシャワーと洗濯を済ませてホテルの隣のイタ飯屋に入る。ビールを注文してピッツァ,カルボナーラ,サラダを流し込んだ。自分は胃の調子が悪く食欲が進まないがカミさんはいたって元気だ。

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ホテルに戻りサッカーワールドカップの対ブラジル戦を見た。廊下の向こうから歓声が漏れてきた。どうやらほかにも客が入ったらしい。試合はドイツが圧倒的な強さを示した。ブラジルの余りにもふがいなさにあきれ返って途中でTV観戦を止めてしまった。そして,ホテルの無料Wi-Fiを利用して明日のマインツのホテルを予約した。

15日目(2014年7月9日):ホッホハイム Hochheim〜マインツ Mainz (14.66km)

7時20分に朝食を摂る。ランチ用のサンドイッチはつくるがコーヒーはマグカップで出されたのでポットにゲットできず。9時にホテルをスタートした。雨は止む気配がない。冷たいツーリングになりそうだ。30分ほど走り回ってマイン川自転車道を見つけた。サーフェスは未舗装であちこちに水溜まりがある。雨は冷たく,気分も冷えきっているがマインツにはホテルを予約済みなのでちょっぴり気が楽だ。

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スタートして1時間でマイン川とライン川の合流地点に到着した。マイン川は,画面の右からの,ライン川に合流して名前はライン川になる。2週間も走ってきたマイン川がなくなってしまってちょっと寂しい気がする。

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ライン川の対岸(左岸)にマインツの街が見えてきた。テオドール・ホイス橋 Theodor-Heuss-Brückeでライン川を渡ってマインツ Mainzに入った。11時前だったのでホテルに荷物とバイクを預けてマインツ観光をするつもりでホテルMainzer Hofのフロントに行ってみた。ところが,ラッキーなことに,部屋の準備は出来ていてチェックイン出来るというではないか。濡れた雨具を脱いで,シャワーを浴びて身体を暖めて着替えたら元気も戻ってきた。寒いので長袖を着込んで部屋でサンドイッチを食べて街の散策に出かけた。雨は上がったがいつ降ってもおかしくない天気だ。

マインツの歴史は古く,紀元前にまで遡れるとのことだ。第二次世界大戦で街は破壊され15万8千人のうち3,500〜3,800人が亡くなったが再建されて生まれ変わった街だ。

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ホテルのすぐ近くの立派なキリスト教会 Evangelische Christuskircheの前を走るカイザー通り Kaiserstraßeから中心部に入る。ローマ・ゲルマン博物館 Römisch-Germanishces Zentralmuseum(選帝侯宮殿 Kurfürstliches Schloss),黄金の馬を飾った自然史博物館 Naturhistorisches Museum,聖ペテロ教会 Katholische Kirche St. Peter in Mainzを横目に大聖堂 Mainzer Dom St. Martinを目指す。

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マルクト広場でまた雨が降ってきた。噴水を中心にして古いスタイルの家が並び,向かいには大聖堂がド〜〜ンと控えている。1000年の歴史をもつ大聖堂だが第二次世界大戦で破壊されて復旧されたものだ。

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中に入ってみるが見慣れたせいか,とくに感慨はない。

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内陣の先は回廊になっていて中庭から見る尖塔は巨大だ。さすが大聖堂。

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マルクト広場に続くリープフラウエン広場 Liebfrauenplatzの一角にあるグーテンベルク博物館 Gutenberg Museumを訪ねる。ここはマインツ観光で楽しみにしていたスポットだ。古めかしい建物に入ってみると,ここは素通りで,裏手に近代的なビルの博物館がある。ちょっと肩透かしを食らう。残念なことに内部は撮影禁止だった。42行聖書,医学書・植物図鑑などなど珍しい本,浮世絵の工程,世界の文字文化,印刷機械などが展示されていた。広場の隅にグーテンベルクさんの頭が。

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第2次大戦の戦禍から免れたというキルシュガルテン Kirschgartenの木組みの家並みを見学。これまでにいくつもの木組みの家並みを見てきているので特にどうということはない。

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アウグスティナー教会 Augustinerkircheは1768ー72年に建てられた。外はバロック様式だが内部はロココ様式だ。この教会も第2次世界大戦の戦禍を免れた貴重な歴史的建造物だ。

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ホテルで貰った地図を頼りに聖シュテファン教会 St. StephansーKircheにいってみる。ここは第2次世界大戦後に復旧されてその時にシャガールがステンドグラスを手がけた(1978-85年)教会として名を馳せている。カミさんが心待ちにしていたスポットだ。どこもかしこもブルーだ。自分には青を基調としたステンドグラスは珍しかったがモチーフはメルヘンチックで絵本的だと感じた。

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教会から市街電車にそって降りてきたところで日本料理レストラン「にこにこ亭」を見つけた。シラー広場 Schillerplatzのオスタイナー宮殿 Osteiner Hofの回りには尻尾が2本の人魚の噴水やメルヘンチックな噴水がある。

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ルートヴィッヒ通り Ludwigstraßeを歩いて州立劇場 Staatstheater Mainzがが建つグーテンベルク広場 Gutenbergplatzに出る。グーテンベルクのモニュメントが立ち,広場には北緯50度を示すプレートが埋まっている。今日の気温は15℃なので長袖を2枚着てきた。寒いはずだよ,北緯50度といえばサハリン(樺太)だよ。

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ライン川の方にどんどん歩いていくと市庁舎橋を渡って市庁舎 Rathausに出る。橋の入り口にインフォーメーションがある。市庁舎は近代的なビルで対面にはラインゴールドホール Rheingoldhalleがある。歩いてきた方角を振り返れば鉄の塔 Eisentrumが見え,その対局はライン川だ。

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繁華街をシュテファン教会の方向に戻る。途中にあったのは旧大学 Die alte Universität in Mainz(Domus Universitatis, Johannes Gutenberg-Universität Mainz)やクィンティン教会 Pfarrkirche St. Quintinだ。シラー広場に戻るわけは,さっき目をつけておいた日本料理の「にこにこ亭」だ。

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ドイツ料理もいい加減食べ飽きたので,あまり気乗りしなかったが,日本料理にトライしてみることにした。中に入ると暖簾,岐阜提灯,ミニ兜などなど日本的なものがあちこちに。でも店員さんはドイツ語と英語を話すが日本語は話せない。

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トイレから戻ってきたカミさんが,シェフは京都で修業したらしく京都府の調理師免許が掲げてあった,という。椅子には座布団が敷かれている。おしぼりと割りばしが出てくる。まずは白ワインを注文し,その間に日本語のメニューを見る。揚げ出し豆腐を注文したら,これが本物。唐揚げを頼むとゆかりご飯とみそ汁が付いてきた。唐揚げはともかくゆかりご飯が旨い。続いてのギョウザは中身が少ないけどそれなりだった。ゆかりご飯に元気づけられビールを注文する。飲んでいる間にカツ丼を注文する。出てきたカツ丼はまさにカツ丼だった。ちょっと贅沢な夕食となったが二人とも大満足した。マスターに挨拶をしようとウェイトレスにお願いしたら,何と,出てきた人は日本の婦人だった。大感激,大満足したとお礼を述べた。

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今日でマイン川自転車道の旅は終わった。自転車道はTimさんのウエッブページにあるように向かい風の日がほとんどであった。マイン川自転車道の走行距離は687.92kmに達していた。明日からはライン川自転車道の旅が始まる。

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 Posted by at 6:17 AM

  5 Responses to “マイン川自転車道の旅(2014ドイツ自転車旅行−1)”

  1. こんにちは。はじめまして。
    マイン川自転車道の旅を楽しく読ませていただきました。
    私たち夫婦も自転車が好きで、今年の5月、少し長めの休暇が取れたので、フランクフルトからマイン川、タウバー川、アルトミュール川自転車道を走り、アイヒシュテットまで約400㎞を走りました。
    ご夫婦で一か月をかけての自転車の旅は羨ましい限りです。私たちも近い将来ロングツーリングを楽しみたいと考えています。ドイツは色々なバリエーションがあって楽しみですね。
    引き続き、ライン川、モーゼル川の旅行記を読ませていただきます。

  2. 私のブログ読者だったとはビックリです。
    有難うございます。

    エルベ川ですか?
    良いですね。ドレスデンなんか素敵な街ですよね?

    オーストリアなんかは自転車環境が整備されていて、ザルツカンマーグートとか楽しく走れると思います。
    チロルは私の大好きな場所ですが、少し上り下りがあって、電車を使ったりすることもあります。

    宿探しですが、私はGPSを使います。
    欧州のSIMを入れておけば、住所か緯度経度で確実に案内してくれます。
    ご参考まで!

  3. ヨッシーさん>コメントありがとうございます。私もヨッシーさんのブログを拝見しております。
    手当たり次第に撮った写真の同定に手間取ってなかなか自分のブログが進みません。メモ,記憶,写真,撮影日時,地図,そしてネットでの検索結果の突き合わせで日々(?)格闘しております。
    出来れば来年もエルベ川自転車道を走りたいと思っています。ドイツ以外の国にも興味はありますが,ドイツほど色々な点が整備不足のようでしり込みしています。

  4. 初めまして!
    ブログ読ませて頂きました。
    同じ時期に欧州を走っていたんですね?

  5. 伊太利亜太郎 様
    こんばんは
    志文町の日々 へのコメントありがとうございます。
    マイン河自転車サイクのブログを楽しく読ませてもらいました。丁寧な記述で敬服します。
    私も昨年ヴェーザー川自転車道をクックスファーフェンまで走りました。私は一人の旅で、夫婦でサイクされる貴方達がうらやましいですね。私の細君は登山専門で、自転車には乗れず、海外旅行にはあまり興味がないのです。私は来年 ドナウ河をパッサウからウイーンまで走ろうと考えています。
    では失礼します。
    ryo

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