三連勝クラブ・シニアチームの5月の定例ツーリングはハードコースとなる栃木ツーリングだ。リーダーS名さんの「糸魚川ファスト・ランの前哨戦」という前宣伝に恐れをなしたのか,参加表明したのは8名と少ない。それも当日欠場が出て柏駅の東武野田線改札口に集まったのは7名の猛者たちだ。買ったばかりの輪行袋にマシンを詰め込むのに,ああでもない・こうでもないと苦心するS名リーダーだ。
なんとか袋詰めが出来て,予定通りに6時51分発の電車に乗った。NHKの「こころ旅」で火野正平が使っている輪行袋は簡便だが場所を取るので混雑する車内ではちょっと困りそうだ。
車内で会チョさんがHARIBOのLakritz Schnecken(ラクリッツ・シュネッケン)とい奇妙なお菓子を振る舞った。スピーカーコードを渦巻き状に巻いた黒いゴムのようなお菓子だ。ドイツでは子どもも大人も好んで食べるというが,S名さんに言わせると「コーラに醤油を混ぜたような味」だそうな。正直,二つとは食べたくない代物だった。会チョさんももっとましな海外土産を買ってきてくれれば良いものを。
春日部で会津田島行きに乗り換え,さらに新栃木駅で各駅停車を待つことになった。
楡木(にれぎ)駅についたのは9時をまわったところだった。楡木駅は無人駅で駅前は民家があるだけの寂しい駅だった。K村さんはここでお着替えだ。運良くクルマが駐車場に入ってきたので,集合写真を撮ってもらえた。
楡木駅を出発するや否や,リーダーS名さんは時速27,8キロで飛ばし始めた。あわてて追いかけるが集団は遠く二分してしまったほどだ。まさに「糸魚川前哨戦」である。山梨市〜糸魚川への300キロのファーストランはこれ位のスピードで走らないと寝るまでには到着しないのだ。
やがて鹿沼市街地に入ると,何と言うことでしょう,「さつきマラソン」の最中でツーリングコースは通行止めになっていた。新鹿沼駅で一服してランナーが通過するのを待つことにした。が,ランナーが途切れても,交通整理のお巡りさんは通行を許してくれない。あっちへ行き,こっちへ戻りウロウロしたがどうしようもない。
S名リーダーの再度の談判の結果,特別に通行が許されて宇都宮森林公園に向かうことができた。五月晴れに映えるサツキの道をジャパンカップコースのウォームアップとばかりに勇んで進んでいった。
森林公園入り口からジャパンカップコースが始まった。始めの登りはそれほどでもなく,途中の萩の道からダウンロードとなった。ここで東海道中ツーリングで鍛えたT野さんがグングンと飛ばしてS名リーダーの前に躍り出た。会チョ,T安さんがそれに続く。鶴カントリーへの看板がある交差点で後続を待っていると,S名リーダーから電話が入った。どうやらジャパンカップのコースから外れたらしい。鶴カントリー前の激坂を登れば森林公園に行き着くという会チョさんの案内でとにかくジャパンカップのスタート・ゴール地点を目指した。
会チョ,T野,T安さんらが先行して,その後に後続組がゴールしてきた。さすがに80歳のT翁は辛そうだ。「三連勝クラブ・シニアチームの他のメンバーもT翁のパワーを見習って欲しい」と会チョがぼやく。
宇都宮サイクリングターミナルで一休みして,これから走るジャパンカップの前半コースを頭に入れる。スタートしてすぐに古賀志林道の登りが始まるのだ。
S名リーダーとT安さんはさすがに登りも強いですね〜。東海道中ツーリングを体験して大きく成長したシニア予備群のY君は「箱根の登りを思い出しながら登れば,この程度はどうってことない」と豪語して登ってくる。K村さんはこの登りには参ったという。T野さんは脚を貯めているのか後ろの方から到着した。いやいやT翁をエスコートしていたのか。
古賀志林道の登りの頂上で一息ついて,落ち葉で荒れた路面を注意しながら下っていった。
ふたたびジャパンカップコースの登り口にもどって,コンビニでエネルギー補給をした。
さつきマラソンのために時間を食ってしまったので,昼食の予約が心配で何度もS名リーダーが電話を入れる。そのためにツーリングのペースはますます速くなっていった。杉並木が残る例幣使街道の文挟(ふばさみ)を通過してようやく花の蔵に到着した。そば茶に続いて冷水で乾いた体に水分補給をする。
部屋の欄間の見事な彫刻は,片岡鶴太郎によって絵に写し取られている。
それぞれが大盛りのもり蕎麦とかき揚げ丼に舌鼓を打った。つなぎが多いのだろうか,蕎麦は滑らかだが蕎麦の香りがしない。かき揚げは大きさよりも厚くして欲しかった。
清流沿いの緑の中を駆け抜けて,最後の登りに取り付いた。かき揚げ丼のゲップが出そうで苦しみながら峠の頂上に到着した。あとは鹿沼まで下りの一方の快適なコースが待っているはずだ。
下りに入ってふたたびS名リーダーが歯 をむき出した。40kmを越すスピードでガンガン引きまくる。途中で会チョさんが機関車を交代してT野さんY君を引き連れてハイスピードで飛ばす。みたびS名リーダーに機関車交代して鹿沼に突入した。飛ばしたつもりのS名リーダーが信号で止まると,すぐ後ろには残りのメンバーがぴったり着いてきている。
楡木駅には発車の20分前に到着したので,余裕をもって自転車を輪行袋に詰めることができた。しかし,お約束のビールは買うことが出来なかった。とにかく楡木駅の周りにはジュースの自販機があるだけなのだ。
15時46分の電車に乗り,うたた寝しながら柏駅に着いたのは17時49分だった。ハイペースで飛ばさなければこの予定時刻には間に合わなかっただろう。
走行距離は92キロ,総時間は5時間45分あまり,総上昇量は816mの厳しいツーリングであった。