本屋で立ち読みした雑誌で西沢渓谷が紹介されていた。水の近くで涼しそうだし,初心者向きのコースだから夏場の足慣らしに良かろうとカミさんと出かけた。5時半に自宅を出たのだが,案の定,中央高速の八王子で渋滞にはまってしまった。
勝沼ICを降りてからいくつかの見所があった。マンズワインの工場見学や恵林寺という大きな寺院だ。恵林寺の脇の看板をみると武田信玄の菩提所だという。出来たら帰りに寄りたいが,雁坂トンネルで秩父に抜けてしまうと叶わない。まあ,とにかく西沢渓谷だ。
西沢渓谷の入り口にある道の駅みとみには9時に到着した。
車止めのある渓谷入り口 から入ると木陰になり,涼やかな風が吹いている。ここら辺りの標高は1100m位だが夏とは思えない涼しさだ。15分ほどでトイレと案内所に着いた。そこから5分もしないところに甲武信岳の入り口がある。
道端に咲く,打ち上げ花火を思わせる,イケマに見送られながら涼やかな道を歩んでいく。後に調べてみたら,この花はきつい臭いがするのだという。嗅いでみなくて幸いだった。次に出会った西沢山荘は現在は休業中とのことだった。
二俣吊り橋を渡りながら見上げると甲武信岳の山容が迫る。
大久保の滝を過ぎ,展望台が設えてある三重の滝でマイナスイオンを思う存分に浴びる。
フグ岩,人面洞を横目に天然クーラーの中を歩いて行く。フグはともかくも何が人面だったのだろうか?
コバルトブルーの滝壺をたたえる龍神の滝を過ぎるとちょっと険しい路となる。
木々の間に垣間見える恋糸の滝の次は見事な貞泉の滝だ。
カミさんが指さす先をみれば,初めてお目に掛かるタマガワホトトギスだ。
母胎淵の甌穴,カエル岩を見ながら工事中の方丈橋を渡ると,
西沢渓谷の最大の見所の七ツ釜五段の滝だ。
その先を一登りすると旧不動小屋跡の休憩所に到着。
今日は二人とも体調が万全ではないので,お約束のビールは無し。ラーメンとお握りで昼食を取って,のんびりとコーヒーを飲んだ。インスタントだがこの,文字通りの,緑の風の中では格別の味だ。
十分にフィトンチッドとマイナスイオンの中での至福のお昼を楽しんだ後は,廃線となったトロッコ路を下るコースが始まる。
これまた初めて出会うイワタバコだ。
深く入り込んだ大久保沢を回り込んでいくと,昭和43年まで木材の搬出に使われたというトロッコに出会う。昭和43年は東京オリンピックで日本が発展を遂げたころだ。その裏でこのようなトロッコが廃線となっていったのだ。トロッコ路線のあちこちに急峻な切り立ちがあり,XXがブレーキ操作を誤って転げ落ちたXXコロバシ,などという場所がある。
そうならないように山の神を鎮めるためのものか,神社が残っている。
やがて,はじめのトイレと案内所に戻ってきたのは4時間立った1時20分だった。およそ10kmの渓谷の散策を終えて熱く燃えるアスファルトの下界に戻ってきた。GPSを携えていったのだが,沢が深くなると衛星をロストして完全なトラックログが得られなかった。
帰路は雁坂トンネルをくぐって秩父に出た。途中の大滝温泉で汗を流して緑の中のドライブを楽しんだ。秩父の街を走ると,札所巡りで回ったいくつかの懐かしい場所に出会った。
[…] り口のバス停を16時25分に出る最終バスで,山梨市駅に辿り着けない。2010年8月に散策した西沢渓谷を横目に眺めてカミさんと先頭を切ってスタスタと歩いて,出発5分前にバス停に到着し […]