1月 192009
 

大学入試センター試験が終わって代休がとれたのでカミさんと息子とで近くの温泉で疲れを癒そうということになった。小山市の思川温泉が面白そうだということになって,ついでに栃木市の満願寺のいづるやの蕎麦と市内の味噌田楽を食おうという計画ができた。

まずは,昨年の五月に栃木駅からBD-1で訪ねた板東第十七番札所の満願寺そばのいづるやに向かった。鍋山という石灰岩の採掘現場を走っていてカミさんが「ここはいつだったかあなたと犬たちと訪ねたことがある」と言い出した。そして,「満願寺には信徒会館や大きな池や寂れた参道のお土産屋がある」ことなどを話すのを聞いていて驚いた。デジャブじゃないの,と聞けば「デジャブというのは現地に行って感ずる物であり,まだ満願寺に行ってないのでデジャブじゃない」という。確かに満願寺の光景そのものである。しかし,自分には記憶が全くないのだ。板東札所巡礼のときも,一度訪ねていることなど全く感じなかったのだ。恐るべしカミさんの記憶力&自分の老人力である。

いづるや は平日ということもあって空いていた。五月の連休の巡礼の時はごった返していたのだが。中へ案内されて大きい造りなのにこれまたびっくり。壁には板東三十三カ所と秩父三十四カ所の朱印が額に入って飾られている。七合盛りの蕎麦と天ぷらを注文した。久しぶりにうまい蕎麦を食べた。信徒会館で食べた蕎麦よりも旨かった。

RIMG0004.JPG RIMG0001.JPG RIMG0002.JPG

カミさんの記憶通りの参道,境内を抜けて満願寺本堂にお参りした。般若心経を諳んじて,現世の利益をお願いした。息子は「このお寺は有名なのか」と聞くので,自分の板東三十三カ所巡礼をちょっと話したが,カミさん同様,こちらも興味は無いらしい。自分もかつて訪ねたときはこんなものだったのだろう。だから記憶が抜けているのだろう。

RIMG0006.JPG

栃木市内にもどったが,月曜日ということでどこの施設も店も閉まっている。味噌田楽を食うためにもクルマを停めておかなければならないので,岡田記念館に行くことにした。現当主の岡田嘉右衛門さんで二十六代になるという旧家である。醤油・酒屋もやったらしい。

RIMG0012.JPG RIMG0018.JPG

蔵には武家の時代の展示物があるかと思えば,別棟には明治時代の床屋がある。昭和41年までこの状態で営業していたそうだ。さらには,代官職のころの建物も残っている。

RIMG0024.JPG RIMG0020.JPG RIMG0029.JPG

極めつけは,ちょっと離れたところにある二十二代当主の隠居宅である。途中の蝋梅を眺めながら大正期の贅を凝らした翁島に向かった。

RIMG0032.JPG RIMG0034.JPG

内部は驚くばかりである。六間半の欅の一枚板の廊下,紅葉の一枚板の床の間などなどである。紅葉の床の間だけで普通の家が建てられるくらいの値段だそうである。浴室の天井は唐傘造りで,映画「定」で阿部定を演じた黒木瞳の入浴シーンの撮影に使われたとある。

RIMG0035.JPG RIMG0041.JPG RIMG0036.JPG

犬小屋の拙宅と比べちゃいけない,思いつつ翁島を後にして味噌田楽の油伝(あぶでん)を探した。創業は天明という270年も続く油伝の田楽は,豆腐と里芋と蒟蒻であった。絶妙な田楽味噌とこれまた歯ごたえ十分な蒟蒻に堪能した。これまたびっくりしたのは,カウンターのレトロな大正時代のレジスターで会計が出来たことだ。

RIMG0047.JPG RIMG0052.JPG

蕎麦と田楽で腹がパンパンになったので,いよいよ本命の温泉である。小山市の思川河畔にあるショッピングモールの奥に場違いなように思川温泉があった。平日料金は700円で休日でも800円とは安い。中には,檜風呂,露天風呂,足湯,釜風呂,サウナ,源泉風呂などがある。自分のお気に入りは露天の釜風呂である。浸かるとザァーと湯がこぼれ,目の前には思川が控え,岩舟の山々が望める。やや温めの湯に,顔に冷たい風が当って言うこと無しであった。

RIMG0054.JPG RIMG0055.JPG

さてさて,カミさん,息子さんヨ,癒されましたか?