三連勝シニアクラブの『茨城県の里山の紅葉，風物詩，味覚の秋を満喫し，旅の疲れを温泉と美酒で癒して締めくくる』というキャッチコピーのサイクルツーリングの企画に乗った。JR東海駅まで輪行し，久慈川・里川サイクリングロードから玉簾の滝・里見の案山子祭りを見学してJR袋田駅から輪行するという行程だ。この季節にはJRのときわ路パスで県内を2000円で一日乗り放題になるので有り難い。このコースの途中には名にし負う猪ノ鼻峠のパスハンティングが控えている。
東海駅に降り立ち，各自のバイクを組み立てて，檄を飛ばすM会チョを武者震いしながらジッと見守る。
通りかかった女学生にお願いして記念撮影だ。総勢20名の爺さん集団である。この中にはここまで100㎞の道のりを自走してきた中年の二人も混じっている。夜中の3時に出発した猛者である。企画者・リーダーのFさんの人柄がこの参加人数に伺える，と誰かがヨイショ。
東海駅から久慈川のサイクリングロードに入る。やがて里川サイクリングロードを右へ別れるころになると陽も射してきてウィンドブレーカーでは暑くなる。それを眺めていた80歳を優に越えた老婦人が「下に無料の卓球場があるからやって行け」と誘う。なんでも，マスターズ卓球を目指しての精進中であるとのこと。丁重にお断りして先に進む。
サイクリングロードからR349に入るとコースはダラダラの登りを強いる。やがて旧道に入り玉簾の滝で小休止をとる。スタートしてから二時間半ほど経っていた。ここは水戸三十三観音札所巡りで訪れた第十四番札所の玉簾寺が脇にある。そういえば，この巡礼も一年ほど前にここで中断している。なんとかせねば，と思いつつご当地名物の玉だれ饅頭でエネルギーを補給する。まあ，温泉饅頭のようなものだった。
やがて旧里美村（常陸太田市）の道の駅さとみを挟んで催されていた案山子祭りを冷やかすために小休止をとる。会場には龍馬，鬼太郎，アンパンマンなどの案山子が妍を競い合っている。案山子に負けじとばかりに歌謡ショーも盛り上がっている。
メンバーは熱々の猪汁に舌鼓を打っているが，自分は後の豪華ランチを期待して名物のジェラートに留めた。はじめは堅くて味が分からなかったが，溶け始めてくると宣伝文句に恥じないまろやかな味が醸し出されてきた。
R349から県道22号に入ると猪ノ鼻峠への登りが始まった。猪汁を食べた連中は，その効き目を遺憾なく発揮して登っていく。一昨年はもっと楽に登れたのに，今日はちょっと辛い。それでも先頭集団で頂上を極めた。遅れたメンバーもヒイコラ言いながら登ってくる。78歳の元競輪選手のT翁も新調のコルナゴを駆って登ってきた。一同揃ったところでハイ，チーズ。
ここからは待ちに待ったダウンヒルが始まり，メンバーは歳を忘れて50㎞オーバーのスピードで下っていく。下り切ってR461に入り，月居（つきおれ）トンネルを抜けると袋田の滝だ。紅葉を期待して集まった観光客でごった返している。この辺りでようやく紅葉に巡り会えた。どこもかしこもこの夏の猛暑で紅葉が遅れているようだ。滝を見学することなく入浴・昼食会場のホテルに向かった。
袋田駅を通り過ぎて久慈川ほとりの河鹿苑にたどり着いたのは1時を回った時刻だった。まずは猪ノ鼻峠パスハンティングの汗を流しに岩風呂に入る。お〜〜っと，そこは女風呂じゃないか。大人数の入湯ゆえに，番頭の計らいで今日は予定のない女風呂も使わせてもらったのだ。不埒な行動ではないのでご安心を。久慈川に架かる鉄橋を眺めながらの，至福の湯で今日の疲れを癒した。
風呂の後は，待ちに待ったビールと昼食だ。あっという間もなくビールは空になっていく。名物のこんにゃくの刺身もなかなかいける。
風呂上がりのビールでゆったりとした気分になり，今日のツーリング談義に大輪の花が咲く。
十分な休養を済ませて，JR袋田駅で各自のバイクをばらして梱包する。
電車を待つ間に酒盛りが始まる。このあと車内でも，一部で酒盛りが続き約1名が酩酊状態となりちょっと周りを騒がせる。
かくして三連勝シニアクラブのときわ路ツーリング計画は，パンクもなく，終わった。JR東海駅からJR袋田駅までの走行距離は61.7㎞，総時間は6時間01分であった。
