角館から一挙に弘前に行くのもつまらないので,途中に立ち寄りの名所は無いかと探した。まずは秋田駅の近くにある千秋公園の桜を訪ねた。公園はかつての秋田佐竹家の居城であった久保田城の跡が当てられている。関ヶ原の合戦の後に常陸太田から秋田に移封されたので茨城県とは多少の関係がある。二の丸跡の桜はかなり散ってしまっていた。本丸跡に入ると散りつつあるがまだまだ十分見応えのある桜が出迎えてくれた。
秋田市を後にして国道7号を北上して奥羽本線の八郎潟駅近くから大潟村に入った。かつて男鹿半島が取り囲んでいた八郎潟を埋め立てた大潟村に桜と菜の花ロードがあるとガイドブックが教えてくれた。1957年に八郎潟の干拓が始まり1964年に村が発足したこの地のことは小学校の社会の時間に習った記憶がある。カミさんも小学校で習ったことがあるという。その大潟村で昨日まで「菜の花とさくらまつり」が開かれていたようだ。橋を渡ると桜並木と菜の花ロードが22キロにわたって続いていた。「桜と菜の花まつり」の幟に誘われて着いたところはホテルサンルーラル大潟だった。後の祭りとなった菜の花畑を走るミニ SLも走っていなかったし,屋上から見る大潟村はまだ春の兆しが見えなかった。ここでお昼を済ませて大潟を後にし,弘前に向かった。
途中で2回ほど無料の高速道路を走った。6月に予定されている地方の高速道路無料化の先駆けでは無さそうだ。弘前城の脇の駐車場にクルマを停めて外濠の端を歩いて城内に入った。お濠を見ると散った桜の花びらに埋もれてピンクの絨毯を敷いたようになっている。城内の一角に日本で一番の幹の太さをもつソメイヨシノがあった。内濠のソメイヨシノもちょっと盛りを過ぎているようだ。天守閣に映える桜を期待して来たが,残念か。
しかし,内濠から有料地区の郭内に入ると目を見張るばかりの満開の枝垂れ桜だ。午後から天候が崩れ始めて,枝垂れ桜を透かして見えるはずの岩木山は霞んでしまっている。肉眼ではかろうじて見えるがどうにも写真には写らない。
ポスターにもある風景を撮ろうとポイントに行って見た。う〜〜ん,曇り空と散りゆく桜で今ひとつのシーンだ。西濠の桜並木をそぞろ歩いて駐車場に戻った。
弘前駅前のホテルサンルートに旅装を解いて,夜桜を見るべく再び弘前城に向かった。途中に市内に点在する文明開化以来の洋館のミニチュア展示場があった。その内の青森銀行記念館,旧東奥義塾外人教師館,旧弘前私立図書館の実物を見ることが出来た。
ライトアップされた弘前城内は,しっとりと落ち着いた角館に比べると,華やかで晴れ晴れしさを感じさせるものだった。夜桜が昼間の散り始めた景観を救ってくれたようだ。
駅前の居酒屋で夕食を取って,さらにドーナツを買い込んでホテルに戻った。