35周年(何のかはヒミツ)を記念してお伊勢さんにお参りにいった。江戸時代と変わらず,物見遊山とご馳走が主であることは言うまでもない。6時50分の新幹線で東京を発ち,まずは名古屋で一仕事を終わらせた。
1日目は,松坂で牛肉を食うという予定を変更して(ちょっと高すぎるので)瀬戸物で有名な瀬戸を訪ねることにした。瀬戸蔵ミュージアムに立ち寄ってみた。昭和の瀬戸の町の様子を再現してあり,ノスタルジックな気分にひたった。
瀬戸物は日常用品を大量生産した物で,そのためのいろいろな手法の展示物は目を見張るほど面白かった。いっぽうではノベルティーという,マイセンを真似たような置物も製作されている。なかでもレースに粘土を染みこませて焼いたドレスを纏った人形は高価である。
お昼は,案内誌に出ていた,ウナギ屋でとった。ぷりぷりした食感で久しぶりに旨いウナギであった。並んで待っただけのことはあった。
腹ごなしに窯垣の小径を散策した。資料館の瀬戸物のトイレは立派であった。
この夜は名古屋の金山に泊まった。手羽先で有名な「山ちゃん」はどこも満席であきらめざるを得なかった。
翌2日目は,名古屋港のイタリア村を訪ねることにした。10時半にオープンとのことなので,まずは名古屋城の金のシャチホコを見に行くことにした。以前に訪ねたときから四半世紀は経っているかな。天守閣から眺める市内は興味を引くほどではなかった。しかし,地下鉄の入り口の門構えや市役所の建物は面白かった。
さて,時間も頃合いとなったので名古屋港に行ってみた。地下鉄を降りてみてもイタリア村方面への客は少なく,ほとんどが水族館方面に向かっている。イタリア村に着いたが人っ子一人いないではないか。「るるぶ」に載っていたイタリア村は潰れてしまったようだ。楽しみにしていたのに〜〜。名古屋港に係留された南極観測船「ふじ」を眺めたりしながら辺りをぶらついて,時間をつぶした。
ふたたび市街にもどり,仕事をかたづけた。仕事を終えて,近鉄特急で鳥羽に向かった。
第3日目はいよいよお伊勢参りだ。丸一日が使えるので,カミさんの希望で鳥羽水族館を散策することにした。あちこちの水族館を見て歩いているのであまり期待しなかったが,これが大当たり! ガラスに投げつけて貼りついたイカの耳をジャンプしてとらえる芸を見せるラッコの食事,手の届くところで見せてくれるアシカ・アザラシの食事のデモンストレーションには驚いた。
続いてはアシカのショーだ。
さらに,お笑いタレントまがいの飼育員との共同のセイウチの笑タイムだ。これも,ベンチに腰掛けた観客のすぐ膝元で演技してくれる。よくぞここまで慣らしたものだ。カミさんも私も大笑いで大興奮だ。
デモの合間にはジュゴンも見た。この水族館の目玉の一つだそうだ。我々の長男の名前のsyrena(ポーランド語で人魚)の実物だ。およそ人魚のイメージには似つかわしくないと思うが…
お昼近くになったが,カミさんは最後にペリカン・ペンギンのお散歩ショーを見たいという。まあ,朝飯も目一杯食べてそれほど空腹でもないので付き合うことにした。お伊勢参りの時間は大丈夫だろうか? このショーも観客の足元で見せてくれるが,手を出すと食いつかれるからご注意とのアナウンスだ。目つきの悪いペリカンも愛嬌だ。
ショーも一通り見て,展示動物も見終えて水族館を出た。御木本真珠は伊勢神宮にもあるというのでパスして,とにかく近鉄で五十鈴川駅に向かった。いよいよ本来のお伊勢参りのスタートである。
順序は逆になるようだが,食事処の関係で,先に内宮にお参りすることにした。お昼は松坂牛のステーキ牛丼を頼んだ。確かに柔らかだが,これが松坂牛かと聞かれれば自分たちには分からない。とにかく,松坂牛なのだ。不謹慎かもしれないがと思いつつも地ビールでお昼をとった。カミさんに言わせるとこの松坂牛の食事が今回の旅行で一番であったそうだ。ならば,松坂の和田金で豪勢にしても良かったか。
五十鈴川の宇治橋を渡り,いよいよお伊勢さんである。参道はうっそうとした森の中を神宮に導く。次第に厳粛な気持ちになっていく。しかし,いざ本宮の前に立ってみると,あまりにもあっけない,というのが自分の感想だ。それでも気を引き締めて,型に則って参拝を済ませた。
再びおはらい町にもどって,ぶらぶらと散策する。お土産屋,食べ物屋が立ち並んでいる。その一角の赤福で並んで赤福をお土産に買った。一時の営業中止事件などどこ吹く風の賑わいである。
おはらい町の中程からおかげ横町へ折れてさらにぶらぶらしてみる。芝居小屋もあった。横町はおかげ参りの善男善女であふれかえっている。ふとカミさんが教えくれたところは御木本真珠であった。鳥羽では素通りしたが,ここはじっくりと見てカミさんに35周年記念の品を贈る算段である。あれこれと迷って,シンプルなイヤリングとペンダントをプレゼントした。おはらい町で干物を買って,自分の手にぶら下げた。カミさんの御木本真珠の手提げとミスマッチもいいところだ。時間は4時を回ろうとしていたので,とにかく急いで外宮に回るべくタクシーを捕まえた。両方を回らないと,片参りといわれるそうだ。
時間も時間だったせいか,外宮は内宮の喧噪とはちがってひっそりとしていた。さして長くもない参道を玉砂利を踏んで外宮に着いた。内宮同様にここもあっけないほどのシンプルな造りであった。外宮では別宮の幾つかにも参拝した。
これでようやく本懐のお伊勢さんにお参りすることがかなった。昔も今も参拝者の本質は変わってないような気がする。思いの外,若い人たちが参拝に来ていたことには驚かされた。来年から神宮は20年ごとの式年遷宮が始まるという。そして,今年3月からこの伊勢神宮を始めとする「神仏霊場巡拝の道」が創設された。西国三十三札所を含み近畿全域で151箇所の神社,仏閣を巡る道だ。実は密かに,今回のこの旅行は神仏霊場巡拝の道の出発点と考えていたのだ。
それもヒ・ミ・ツ
Bikingどの
あはーーん。なるほど。ここへいっていたのですね。充実した休日のようでご同慶の至りです。
最後の一行、「実は密かに」はだれに対して「密かに」なんでしょうか。