4月 202008
 

嫁に誘われて,宇都宮市にある栃木盲導犬センターの盲導犬ふれあいデーというフェスティバルに行ってきた。センターは市の外れの宇都宮森林公園の近くの古賀志山を望む田園の中にあり,県立盲学校と隣合ってている。森林公園は以前は自転車レースでよく訪れたところで,久しぶりの古賀志山との対面であった。

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当日は,盲導犬の慰霊式も催されたようだった。訪れたときは演奏会や,獣医の愛犬のケアについてのお話などの最中だった。

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会場のあちこちにパピーウォーカーが連れて来た訓練前のワンちゃんたちがいる。日本では盲導犬の7〜8割方はラブラドール・レトリーバということだ。さっそくにカミさんがその一人にあれこれと尋ねはじめた。

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パピーウォーカーになるには,室内で飼えること,定期的な勤め人でないこと(より長い時間をパピーと過ごすために),月に2回のセンターでの研修会などの条件があって,生後50日から1歳までパピーを預かる。狂犬病の予防注射,フロントライン(ノミ,ダニ駆除薬)と市町村への畜犬登録はウォーカーの負担だが,そのほかのワクチン,餌,基本的な治療などはセンター持ちだそうだ。

パピーウォーカーの他には,盲導犬の親を預かるブリーディングウォーカー,盲導犬に向かなかった犬を引き取るキャリアチェンジ犬ボランティア,引退した盲導犬(10〜12歳でリタイヤ)を引き取るリタイヤ犬ボランティア,候補犬を一時的に預かるステイウォーカーというボランティア活動がある。ステイウォーカーは訓練犬を様々な人と触れ合わせるために2週間あちこちの家庭で預かるというものだそうだ。

パピーウォーカーさんは別れがとても辛いだろうね,とカミさんが言うが訓練中もこの栃木盲導犬センターでは面会ができるそうだ。そんなウォーカーさんを待っている訓練犬もいた。年に一度のフェスティバルの今日はこのように普段は見られない,センター内の施設が見学できるのだ。

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センターの資料(盲導犬情報,55号,2008.3)による昨年度の全国の盲導犬事情は,指導員37名,訓練士14名,研修生30名である。訓練士は最低3年の期間で20頭以上の訓練と6例以上の歩行指導事例が課される。指導員養成課程は2年ということだ。課程には,犬の訓練技術,犬に関する知識(解剖学など),視覚障害者の歩行に関する技術,知識(運動のメカニズムなど),盲導犬の歩行指導に関する技術,知識(適正評価など)を学ぶ項目がある。

盲導犬の2006年度の事情は,実働頭数965,育成頭数139,年間訓練頭数369,リタイア頭数153ということだ。2007年3月末では盲導犬希望者数が3404人(推定)いるという。

今日の催しは盲導犬のことばかりではなくて,視覚障害者についての企画もあった。その内の一つの点字に初挑戦してみた。お手本を見ながら2×3の点で組み合わされる記号を厚紙に穿っていく。書くときは右から左に凹みを穿っていくのだが,読むときはこれを裏返して凸のポッチを左から右に読んでいく。濁音や半濁音などは2マスで一文字を表す。この点字をコンピュータで印字するプリンターは300万円くらいするそうだ。かつて,理療科教員の研修会で講演したことがあるが,こちらが話すと一斉にトントントンと点字でノートを取る光景を体験した。今日,わずか25文字ほど点字するのにかなりの時間がかかった。

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2時間ほどフェスティバルに居て,孫も親もジジババも腹が減ってきたのでを帰ることにした。カミさんはパピーウォーカーに大層乗り気であったが,今ひとつ決断を下せていない。12年と14年飼っていた犬が逝って4年と2年が経っているが,パピーウォーカーでは生き別れを体験しなければならないと思う気持ちが邪魔しているのだろうか? そんなことを思いながら外に出ると,センターの周りは春の日に映える梨の花の盛りであった。

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