7月 092016
 

JR東日本の大人の休日倶楽部のジパング会員の特典でJR東日本フリーエリア4日間乗り放題という企画を使って「みちのく潮風トレイル」第2弾をやろう,とカミさんが提案してきた。この季節は梅雨でトレッキングはチョット心配だが15,000円の魅力には勝てない。と言うわけで,2016年6月27日〜30日に宮古市北部〜宮古市中部の整備済み区間を歩いた。

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第1日目(2016年6月27日 晴れ)岩手県宮古市(0.0km)

前回と同じく,はやぶさ7号に乗って盛岡に到着した。が,ここで大きな問題に出会った。盛岡駅発11時08分の山田線に乗り換えようと電光掲示板でホームを確認すると,すべての列車は上米内までしか運行してない,とあるではないか。乗り換える予定の列車では宮古に行けないようなので駅員にきいてみる。昨年12月の土砂崩れで列車が脱線していまだに復旧していないので宮古には振替えバスに乗ってくれ,という返事だ。バスのチケットを発行してもらい駅のバスターミナルに並んだ。列に並んだ乗客はほとんどが我々のような高齢者だ。多分,大人の休日倶楽部の会員だろう。

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そんなわけでバスは2台が用意され11時40分に宮古に向けて出発した。バスの中で盛岡駅を降りて直ぐに買った駅弁を食べた。しかし,どこが義経弁当なんだろうか? 13時に中間地点の道の駅やまびこ館でショータイムをとった。山田線に沿って走るバスの車窓から見る線路は錆びついていて,確かに,列車が走っている形跡はない。それにしても現地で半年前からの運行停止を知るとは。JRのアナウンスに問題はないのか? それとも我々の調べ方が足りなかったのか?

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ともあれ,バスは15時05分に宮古駅に到着した。予定では13時15分の三陸鉄道に乗り換えて摂待(せったい)まで行き,そこから6キロほどを歩いてグリーンピア三陸みやこに泊まるというものだった。次の三陸鉄道の便では遅すぎて投宿時刻が遅くなりすぎる。かと言って浄土ヶ浜を先に観光するにも時間が足りない。

先ずはグリーンピアまでのバスの時刻を確認する。次いで,30日に浄土ヶ浜にゴールして観光に要する時間,浄土ヶ浜〜宮古駅と宮古駅〜盛岡駅のバスの時刻を調べた。そして,新幹線の切符を予定よりも2列車遅い便にしたほうが良いと判断して変更手続きを取った。これで一安心だ。

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そうこうしている内にグリーンピア行きのバスの時刻(15:30)となり,入ってきたバスに乗り込んだ。40分ほどでバスはグリーンピア三陸みやこに到着した。グリーピアはプール,多目的アリーナ,体育館,グラウンドゴルフ場,森林浴コースなどの施設を備えた100万坪の総合リゾートエリアを謳っている。

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チェックインして驚いたことには,ホテル内に田老診療所・薬局があったことだ。そうだった,ここは5年前の大震災の避難所であり,その時にこれらの施設が入所したのだ。館内スタッフによれば,この8月には閉鎖されて田老地区に新設される施設に移るという。

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夕食までに時間があったので外の施設を散歩がてら見学することにした。まず目に付いたのは駐車場のたろちゃんハウスという3棟の仮設商店街だった。さらにその向かい側のテニスコート・グラウンドには沢山の(約400棟)の仮設住宅があった。たろちゃんハウスの幾つかの店舗は本設移転の張り紙があり,仮設住宅の幾つかにも空き家の張り紙があった。しかし,大震災から5年を経た現在もこれらの施設は存続している。元々のテニスコートやグラウンドの金網に囲まれている仮設住宅の空間のこの光景には,まだ住んでいる方には申し訳ないが,悲しくなった。

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気を取り直して森林浴コースを歩いてみた。ゴーカートのコースの脇には閉鎖されたトリムコースがあった。そこの脇道の道端にみちのく潮風トレイルの道標を見つけた。明日はここから先に進むのだ。散策を続けると道端にモミジイチゴやホタルブクロ(ヤマホタルブクロかも?)とマツムシソウを発見した。さらにその先に歩を進めると見事な唐傘を広げたようなかたちの松に出会った。唐笠松展望所だ。そこからは荒々しい岩礁とそれに打ち付ける白波の三陸海岸が望めた。

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ホテルに戻って洗濯と入浴を済ませて夕食を摂った。まずはお約束の生ビールで乾杯だ。今日の行程は0kmだがビールは旨い。膳には山海の珍味が並べられている。いわて牛の陶板焼き,ホタテの焼き物,お造りとホヤなどなどだ。カミさんはホヤを一口試してパスしたが,自分は,かつての生物学者としては,この脊索動物を食べない手はないとばかりにパクついた。しかし,潮臭いのとほろ苦い味にはちょっと引いてしまった。採れたてのホヤは潮臭くもなく甘い味だそうだが。この膳を平らげると海鮮丼とみそ汁が出た。みそ汁の旨さにはカミさんと相槌をうちながら頬を緩めた。さらに〆に出たのはアイスクリームの天ぷらだ。

カミさんと「宮古に来たら,ちょっと足をのばしてここに泊まるべきだ」という結論を出した。それほどにグリーンピア三陸みやこのサービスは良かった。果たしてここに泊まることで三陸復興にどれほど役立ったのだろうか。

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第2日目(2016年6月28日 晴れ)岩手県宮古市グリーンピア三陸みやこ〜宮古市田老駅(22.6km)

7時にバイキング形式の朝食を摂る。今日は一日中16キロほど歩く予定なのでガッツリと洋食と和食をたら腹つめこんだ。

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8時10分にグリーンピアを出発した。フロントでトレイルの入り口を尋ねたが,地図上では分かりにくいのでグリーンピアのゲートまで進んで入り口とおぼしき場所に戻ることにした。見つけたトレイルの入り口には,なんと,通行止めで迂回せよとの案内板があった。フロントで,工事中でルートが変わっているようですよ,と言っていたのはこのことか。再びゲートまで戻ることになった。

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ゲートから迂回路に出てみると復興道路の工事現場だ。それを横目にアスファルトの上り迂回路を進んだ。

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暫く集落の中を進み,案内板にあった未舗装路の脇道にトレイルの道標を発見した。えぇ,こんなルートかよ〜,とぼやきながら入っていった。木の枝に垂れ下がった,今回初めてのお目見えのみちのく潮風トレイルと記したビニールテープを見つけて一安心だ。小川を渡り進むとお馴染みの国道45号線に出た。

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R45から直ぐに左折すると先ほどの復興道路の続きの工事現場に出た。道路のはるか先にはグリーンピアが見えた。暫く進むと本来のトレイルに合流した。この先は地図にしたがって進むことになった。ここまでおよそ2時間を要したので,おそらく1時間以上は予定より遅れただろう。

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15分ほどで青野滝の集落に入ると,辺りに霧がかかるようになって涼しくなってきた。これが前回のトレイルで聞いた「やませ」だ。集落を抜けて海を見下ろす山道に入り,青野滝川が流れ込む海岸に降り立った。そこに待っていてくれたのはスカシユリ(ハマユリ)だ。

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前回も幾度となく体験した,山道から海岸に降りてきてすぐに山道へUターンして直登,パターンだ。登り詰めると耕作地に出た。束の間のホッとする平坦な区間だ。

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再び海岸に降りていく。トレイルコースは海岸まで行かずに山道を行くようになっているが,お昼の時刻なので海岸まで降りて休息&昼食タイムとした。今日のメニューはパスタだ。パスタは1分茹でのサラダ用の細く短いものを使って時短を図る。自分はカニ&トマト味のソースでカミさんは和風のキノコ味のソースだ。食後にコーヒーを淹れて暫しの安らぎの時間を過ごした。

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元のトレイルに戻り山道に分け入る。

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海岸に下りると新しい道路が出来ていた。後ろに見えるトンネルの出口には道はなかった。海岸線を少し歩くと,またまた,山道への直登が始まった。

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トレイルの途中には大きな倒木やら,見たこともないアジサイのような花があった。

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集落を抜けると舗装道路は海岸へと降っていった。降り立った小港漁港にはトイレがあり,珍しいことに自販機もあった。ここでアクエリアスを買って飲んだ。

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トレイルから少し外れたところに陸中真崎灯台と真崎展望所が地図にある。時刻は2時半になろうという頃だがカミさんが,もう二度とこないだろうから立ち寄ってみよう,という。急峻な荒れた道を上るとちいさな灯台があった。真崎展望所からの景色は,下の小港漁港はよく見えるものの,松の木が邪魔して良い展望ではなかった。本州最東端の魹ヶ崎(とどがさき)が見えるとあるが分からなかった。

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山道へ入ると陸中海岸自然歩道の標識があった。どうやら,みちのく潮風トレイルは元々あったこの自然歩道を整備し直したものらしい。道理で今回のトレイルコースにはみちのく潮風トレイルの道標はあまり見かけないわけだ。

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やがて舗装道路に出会った。

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舗装道路を30分ほど歩くと高級車が何台か道端に止まっており,その向かいには瀟洒なホテル渚亭たろう庵があった。5年前の大震災で田老地区のホテル,民宿は壊滅した。たろう観光ホテルが高台に再建したのがこのたろう庵だ。しかし,宿泊料は2万円以上もする高級ホテルなので,我々のような年金生活者には高嶺の花もいいとこだ。たろう庵を横目に実ながら進むことにした。

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田老庵の向かいに遊歩道の案内板があったので,三王園地かと思って入っていった。が,案内板を見ると浪打崎と言うところらしい。ステージのような畳岩がある。向こうに見える岩が三王岩らしい。

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遊歩道から田老庵の道路に戻って進むと三王園地の案内板を見つけた。ここからは三王岩が良く見える。さらに歩いていくと三王岩の案内が出てきた。行って見ると,なるほど,ここからの三王岩のほうが立派だ。岩の対岸にはトンネルがあり田老港への道が見えるが震災で崩落して通行止だった。さぁて,トレイルに戻って田老駅に向かおう。

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急坂を降りていくと大震災時の津波到達地の石碑があり,その向こうには震災遺構のたろう観光ホテルが見えた。田老港は復旧されていたが,たろう観光ホテルの姿は悲惨だった。駐車場には大震災の地殻変動で登記基準点が2mも移動した証が残っていた。我々は5年経ってようやく大震災の悲惨さを目の当たりにした。みちのく潮風トレイルを歩かなかったたら,このような震災の事実は体験できなかっただろう。悲しくもあり,そして申し訳ないような気持ちでたろう観光ホテルを通り過ぎた。

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田老町を抜ける国道45号線の両側のやけに広々とした,分譲前の宅地のような光景を複雑な気持ちで歩いていく。ところで三陸鉄道の田老駅はどこだろう。ポツンと建っていた津田時計写真店に入って駅を尋ねた。店内には震災時の写真が掲示されていたので,震災当時の話をいろいろと伺った。そして復興の紀念誌までいただいた。ありがとうございました。

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三陸鉄道の田老駅は数分のところにあった。17時24分の列車に乗って15分ほどで宮古駅に降り立った。

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田老地区の民宿は震災で倒壊し,その後も復興されてないので渚亭たろう庵しかホテルがない。たろう庵は敷居が高いので,いったん宮古市街に戻り我々にとってリーズナブルなホテルに泊まるのだ。予約しておいた宿は宮古ホテル沢田屋だ。風呂に入って汗を流したらお約束の生ビールだ。今日はカミさんの誕生日だ。Happy Birthday to you!

メニューはホタテ,エビなどの陶板焼きにホタテ・ウニの釜飯だ。ここでもみそ汁が旨かった。

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食事の後に酔い醒ましを兼ねて駅の近くのコインランドリーまで出掛けて洗濯をした。

今日の行程は22.6kmだった。地図のガイドによれば15.5kmだが,そんなにも迂回路が長かったのだろうか? お疲れさまでした。

第3日目(2016年6月29日 曇り)岩手県宮古市田老駅〜宮古市宮古姉崎オートキャンプ場(17.6km)

予定ではホテルの出発は9時にしておいたが,前日にフロントで朝食時間を尋ねると6時半からということだった。ということは三陸鉄道で田老駅にもどる列車を一本早めることが出来る。そのうえ,8:00の列車に間に合うようにホテルから駅まで送迎車で送ってくれるという。で,6時半に朝食をとった。今日のメニューは和食である。

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8時ちょうどの三陸鉄道北リアス線に乗り,田老駅に戻ってきた。身支度を整えて8時半に田老駅をスタートして,地図に従って田老港に向かった。港の沖には「やませ」が発生している。港で行き止まりなってコースを誤ったことに気付き,工事現場の人に聞いて,本来のコースにもどって進んだ。行く手にはやませが押し寄せて辺りの視界は悪くなった。

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トレイルは防潮堤の工事現場で行き止まりになった。地図が示す山道への入り口を探すがどこにあるか分からないので,ここでも,工事現場の方に聞いた。すると,津波避難経路の看板があるあたりに3ヶ月前は道が見えたが今は草が道を隠してしまっている,と教えてくれた。薮漕ぎしながら上ってみると階段が現れた。このコースでオーケーのようだ。

足下に気をつけながら歩いていくと,おもしろい花びらをもった植物を発見した。ランの仲間のクモキリソウだ。樹林の外は,おそらく,やませで五里霧中の世界だろう。そんな中でクモキリソウとの初デートとは。やがて案内板が立つT字路にでた。なんてことだ,いままで登ってきたコースは通行止めとあるではないか。そんなことはどこにも書いてなかった。このコースのスタート地点の田老駅でもそんな情報はなかった。昨日のグリーンピア三陸みやこの迂回路といい,今回の迂回路といい,この調子だ。グリーンピアも田老駅も環境省の用意した地図では一日コースのスタート地点となっているのだから,そこで’情報が得られるような配慮をして欲しいものだ。

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本コースを進んでいくと,またしても,胸突き八丁の階段上りだ。ようやくのことに平坦な道になると佐賀部への道標があった。チョット寄り道をして佐賀部に行ってみる。佐賀部はウミネコの繁殖地として知られているというように,やませの霧のなかでウミネコのニャーニャーという啼き声が聞こえた。佐賀部展望所からは対岸に三王岩が見えるはずだが,やませがそれを邪魔している。

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トレイルにもどって進むと浜が見えてきた。栃内浜だ。護岸などの人工物が全くない,現在では貴重となった天然の浜だ。11時半になろうとしている時刻だったのでお昼を摂ることにした。メニューはにゅう麺と餅で雑煮だ。

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やませに煙る栃内浜を後にして山道へ入る。すると,今度は浄土ヶ浜自然歩道の案内板が出てきた。みちのく潮風トレイルはもとはこうだったんだ。集落を抜けて,平坦で足に優しい道を進むと悪条件時の迂回路の案内板だ。今日は高波も無いのでそのまま本コースを進んだ。なるほど高波時には通れそうもないコースだ。

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登りよりも降りの方が辛くなってきた階段を降りると松月浜に出た。空には奇麗な巻積雲(うろこ雲)が出ている,天気は下り坂かな。

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松月浜から山側にすすむと宮古カントリークラブの脇へ出た。すこしばかり舗装路をあるくと地図は未舗装路のコースを示す。目立たないところにトレイルの標識を見つけて分け入った。

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人家と人家の間の狭い通路をぬけると集落に出た。笑っちゃうような集落の名前だ。だが,ここにも津波は容赦なく押し寄せている。津波ばかりではなく1961年にはフェーン現象で起きた山火事でこの集落は全滅していた,という石碑がある。東北区水産研究所の建物も新しい。そして今,ここには高さ12.5m,厚さ1.8mの新しい防潮堤が建設中だ。まだまだ復興は続く。

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女遊戸の集落の外れのトンネルを抜けると震災メモリアルパーク中の浜があった。震災前はここは森林に囲まれたキャンプ場だった,とある。展望の丘の高さにまで津波が押し寄せた。津波によって壊滅したトイレや炊事場が震災遺構となっている。

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トンネルをもう一つ抜けて山道に入り休暇村陸中宮古を目指す。今日は休暇村に併設された宮古姉崎キャンプ場にテントを張って宿泊する。しかし地図を読み間違えて一つ手前の合流部から舗装路に出てしまった。住宅街をたっぷりと歩かされて休暇村陸中宮古にチェックインしたのは4時をまわっていた。フロントでチェックインすると,キャンプ場は我々の貸し切りということだ。で,ボイラーは炊かないので温水シャワーの代わりに宿舎の風呂を使ってくれとのことだ。

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風呂に入って,コインランドリーで洗濯して夕食の支度だ。何といってもビールで乾杯。そして,今日のメニューのカレーに舌鼓を打つ。

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今日の行程は17.6kmだった。地図から計算すると12.6kmだが,はて,どこで5kmも寄り道したんだろう。

第4日目(2016年6月30日 曇り)岩手県宮古市宮古姉崎オートキャンプ場〜宮古市浄土ヶ浜(10.7km)

JR東日本の大人の休日倶楽部の割引切符の有効期限が4日間なので,今日中に帰らなければならない。みちのく潮風トレイル第2弾の最終日だ。今日は姉ケ崎キャンプ場から浄土ヶ浜までの半日コースを歩く予定だ。6時に朝食を済ませ,テント,シュラフ,マットを干して収納する作業をこなした。8時半にキャンプ場を発って遊歩道にはいった。トレイルはこの休暇村の遊歩道を兼ねている。

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トレイル上からは,今朝方ミャーミャーと啼いていたウミネコたちが止まっている岩が眼下に見える。キャンプ場から20分ほどのところにある浄土ヶ浜展望台からは彼方に浄土ヶ浜らしき光景が見える。大きな島が日出島(ひでしま)のようだ。今日の景色はやませに邪魔されることはなさそうだ。

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遊歩道を右に分けてトレイルは続く。今朝一番の登りは相変わらず辛い。この時,林の中でガサガサっと何かが駆けていった。まさかクマじゃないよね,と背中をゆすってリュックに付けたクマよけの鈴を高く鳴らす。その直後にまるで動物園の檻の中のような獣くさい臭いが辺りに漂った。カミさんは何も感じないというがクマだったら大変だとばかりに二人で大きな声でたわいもない話をしながら歩いた。

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潮吹穴の標識を見つけたがカミさんはパスするから,と言う。一人で見に行って見るが,波が打ち寄せても潮吹きは見られない。戻りがけに足下をみればチャイブが咲いていた。へぇ〜,こんなところにハーブだ。

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対岸に日出島を望む日出島集落に東日本大震災の津波到達地点の碑がある。大沢海岸に向けてトレイルは山の中に続いていく。環境省はトレイルのこの部分は整備済みと言うことで地図も発行しているが,必ずしも安全なトレイではない。壊れたままの橋もあった。歩き進むと珍しく竹林が出てきた。更に進んで,地図で見ると蝋燭岩辺りだろうか,作業小屋のある空き地に出たら,献花台があった。津波の受難者を供養したものか。

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大沢海岸に降り立ったが,ここも防潮堤の工事の為にルートは迂回している。これはまた,奇麗なキノコだ。カミさんもiPhoneを取り出してパチリ。 アカタケだろうか。

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蛸の浜展望台の案内に従って寄り道してみる。眼下には透き通るようなエメラルドグリーンの海だ。

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トレイルは墓地の中を通っている。墓地も津波の被害に遭ったのだろう。お寺の境内には明治の津波の碑が建っていた。そこから見る蛸の浜町も復興の途上だ。

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墓地を抜けて舗装道路に上がり,脇道の遊歩道を歩く。その先を降りたところが奥浄土ヶ浜だった。今日のゴールだ。お昼の食事をを摂りたいけど,まずは遊覧船の乗り場で乗船券を買おうと波打ち際の遊歩道を先に進む。

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遊覧船の次の便は1時30分だが,今日は2時30分の便もあるという。遊覧船乗り場でリュックを預かってもらい,先に浄土マリンハウスから出る小舟で青の洞窟を見ることにした。ヘルメットにライフジャケットをまとい,かっぱえびせんを渡されて乗船した。船頭の指示でかっぱえびせんを掲げるとどこからともなくウミネコが近寄ってきて,サッと摘んでいく。あまりにたくさんのウミネコが寄ってきてヘルメットに停まったりする。

やがて青の洞窟に入った。洞窟の奥に空いた八戸穴は,八戸までに続いているということだが,眉唾だろう。入り口に近いほうの海底はエメラルドグリーンだがその反対側は透明の海水だ。数年前のイタリヤ旅行でカプリ島の青の洞窟を見学したが,本家の方が青かった。天候と時間帯によっては別の色に見えるというが,こちらの今日の海水の色は青というよりも緑だ。まっ,青信号といっても緑色だから良しとするか。

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青の洞窟を出たさっぱ船は,さきほど降り立った奥浄土ヶ浜を海から眺めるコースに入る。賽の河原,子安地蔵,剣の山やらを目の前にしながら巡った。夏にはここは海水浴場となるのでさっぱ船は入れなくなるそうだ。こんなところで海水浴をしたいねぇ,とカミさんと話しているうちに20分ほどの青の洞窟巡りは終わった。

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1時30分のみやこ浄土ヶ浜遊覧船の時刻に間に合ったので乗船することにした。預かったもらったリュックは船内に保管してあったので,行動食を食べてお腹の虫を癒すことにした。大人の休日倶楽部のポスターで吉永小百合と並んで写っているガイドさんとツーショットをお願いして乗船した。ここでもウミネコに餌を与えた。

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遊覧船は浄土ヶ浜を回り,蝋燭岩,夫婦岩,潮吹穴,姉ケ崎を回りながら遊覧した。蝋燭岩は独立した岩でなく岩壁が細長く削れたものだ。潮吹穴からはわずかに飛沫が飛び出した光景が見られた。こうしてつい先ほど姉ケ崎キャンプ場から浄土ヶ浜までのトレイルを海から眺めながら遊覧船は船着き場に戻ってきた。

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下船後は浄土ヶ浜ビジターセンターに回って見学した。受け付けでバスの時刻を確かめると15時50分の奥浄土ヶ浜からの便があるというので,再び奥浄土ヶ浜に戻りゆっくりと観光することにした。奥浄土ヶ浜の浄土ヶ浜レストハウスでの昼食提供は早々とお終いになっていたので,浜辺に座って,アルファー米の五目ご飯を調理して食べた。そうこうする内に宮古駅往きのバスがやってきて宮古駅に戻った。

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17時05分の振替えバスで盛岡駅に戻った。盛岡からははやぶさ36号で上野に向かった。上野からは,6回まで指定席を利用できるという,割引チケットのお陰でときわ91号の常磐線特急で自宅に戻った。今日の行程は10.7kmであった。

二日と半日で歩いた今回のみちのく潮風トレイルは51.1kmであった。獲得標高は2,086mに達した。今回も楽なコースではなかった。身体も精神も疲れてくると,アップダウンが連続するトレイルを歩いている最中に「このトレイルを歩く意味はなんなんだ? ゴールの相馬まで700kmを歩いてどうなるんだ? これで被災地に貢献しているんだろうか? 被災地の方は我々の遊びをどう見てるのだろう?」などなどと考えてしまった。

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