10月 132016
 

昨年に登った北岳の大樺沢から八本歯のコルにかけてのコースで鳳凰三山がよく見えた。今回はその鳳凰三山に登った。山と渓谷6月号の「この夏,テントで歩くベストルート40」を読んで,本来ならば8月に実施するつもりだったが,あれこれと忙しくて9月に伸ばさざるを得なかった。しかし,9月に入って雨ばかりで実現できず,またも伸びてしまった。10月の前半も雨が続いたが,第3週にはカミさんお稽古ごとも暇になり,その上に天気予報も好天を謳うので10月12〜13日に決行となった次第だ。チャンスを見つけてサッと出かけられのも年金生活者の特権だ。

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第一日目(10月11日 自宅〜南アルプス市芦安温泉)

11日午前中に自分の予定を済ませて,車で南アルプス市の芦安温泉に向かった。ここで前泊して翌日からの三日間で南御室小屋キャンプ場に2泊して鳳凰三山をピストン登山するというゆったり山行で行くことにした。中央高速を甲府昭和で降りて芦安温泉に到着した。今夜の宿はALPENガストハウスらんたんだ。ここは5月にTV番組「人生の楽園」で紹介されて,とても人気の宿ということだ。ということを到着して知った次第だ。

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宿は露天風呂が設えられていて,それも信楽焼の湯船という豪華さだ。久しぶりにカミさんと混浴となったが,この歳になるとカミさんの裸にドキドキすることも無くなっている(^ ^)

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オーナーが談話室の薪ストーブを焚いてくれた。ほんわかとした暖かさが湯冷めを防いでくれた。

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夕食の豪華さには目を見張り,どれもこれもがとても美味しくてすっかりと平らげてしまった。鱒の自家製味噌焼きはヤマメと間違って頭も中骨もバリバリと食べてしまった。

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第二日目(10月12日 夜叉神峠登山口〜南御室小屋キャンプ場)

今日の行程は6時間をみていたので,宿で朝食をとってからのんびりと出発することにした。泊まり客の一人は朝食をお弁当にしてもらって早朝5時に発ったようだ。予約時のホームページを見てしまったら,美味しそうな朝食を摂らない手はない。8時の朝食は期待通りのものだった。手作りベーコン入りのスープ,米粉入りのパンが美味かった。パンのお代わりができないほど鱈腹に食べた。

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マスターにツーショットを撮ってもらって夜叉神峠登山口駐車場に向かった。

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宿から15分ほどで駐車場に着いた。ここから先の北岳登山口の広河原までは一般車両は入ることはできないようになっている。身支度を整えて登山届を書いて,いざアンディア〜モだ。スタート時刻は9時35分とのんびりしたものだった。

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夜叉神峠まではブナなどの林の中を登って行く。峠までは軽装のハイカーが我々の重装備に驚きながら登っていく。十分にエネルギーを補給したせいかそれほどの急登とは感じない。自分はしばらくぶりの歩きだが,意外と,調子は悪くない。小一時間で夜叉神峠に到着した。峠からは北岳,間ノ岳,農鳥岳の白峰三山がくっきりと見えた。「昨日から天気が回復してこんな景色が見れれるようになった」と下山してきたハイカーが教えてくれた。幸先は良さそうだ。カミさんと間ノ岳の優雅な姿に暫し見とれて「次は北岳から間ノ岳への稜線を富士を眺めながら歩きたいね」と話しながらコースに戻った。

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サルオガセに見送られ樹林帯を登っていった。右手(東側)が開けてきたので振り向いてみると富士山が雲から頭を出していた。左手(西側)は木々の間に北岳の勇姿を垣間見ることができた。

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登山口を出発して2時間半経ったところでかみさんが「お腹が空いた」と言い出した。自分は宿の朝食を完食したのでまだ空腹は感じていない。杖立峠で昼食を摂ろうと思っていたのだがカミさんの体調に従うことにした。メニューはカップスープと昨日の自宅での朝食の残りのパンケーキだ。食後にカミさんの水1Lを自分のリュックに移して,カミさんの体力温存を図る。

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小一時間歩いたところが杖立峠だった。エネルギーを補給したにも係わらず,カミさんの歩はスムースではない。ここでカミさんが持っていた食料を自分のザックに移す。2泊3日ともなると食料は結構な重さだ。「大丈夫,大丈夫」が口癖の頑張り屋のカミさんもこれで楽になったようだ。樹間からは間ノ岳のたおやかな山容が望める。足下の杉苔の緑とともに長い登り一辺倒のコースの辛さを一時忘れさせてくれる。

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さらに1時間がんばったところが火事場跡というすこし開けた場所だ。何時の山火事だろうか,立ち枯れた木々と若い木々が混在している。足下は石がゴロゴロしているガレ場でとても歩きにくい。4時間以上も登って来た身にはとても堪える。カミさんに「あと1時間がんばろう」と声をかけて歩を進める。

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ガレ場が終わり少し楽になったその先が苺平だった。ここで一息を入れた。やれやれ,ここから先は緩やかな下りが南御室小屋まで続くはずだ。

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大きな石を,まるで熊野古道のように,敷き詰めた径を下っていく。30分余りで南御室小屋が見えてきた。ようやくのことで今日の宿となるキャンプ場だ。

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キャンプ場は雑木林に囲まれた平らな場所だった。すでに2張りのテントがあった。まずは,小屋の受付で料金を払ってテントを張った。その後はお約束のビールで乾杯だ。3時半だというのに涼しくて汗も引いてしまっているので,ビールの喉越しもいま一つだ。小屋からビールを提げて通りかかった青年とビールを飲みながら話ができた。愛知からスクーターを9時間飛ばして来て,我々と同じく,ここに連泊して鳳凰三山のピストンをやるという。42歳ですでに就職した子と高校生の子持ちだという。カミさんと我が息子たちと比較してビックリだ。あれやこれやと話して,暗くなって来たのでお互いに夕食の支度のために別れた。我々のような歳でテント泊で山歩きをする姿勢に驚いていた。そういえば,山小屋泊まりの高年者は多いが,テン泊する高年夫婦はいないなぁ。

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辺りが暗くなった6時に夕食をとった。ポトフとトマトスープのレトルトにアルファ米のワカメご飯だ。この時間でも調理する手が冷たい。

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食後の後片づけを済ませて,タイツを履き,ダウンジャケットを着込んでシュラフに入った。やることもなく7時過ぎには寝入ってしまった。

第三日目(10月13日 南御室小屋キャンプ場〜鳳凰三山〜南御室小屋キャンプ場)

のんびりと6時に起きた。小屋泊まりの団体のハイカー達はすでに出発の準備をして小屋の前に集合している。出発を見送った頃にパンとスープで朝食を摂る。ベンチが冷たいと思ったら凍っていた。昨晩は零下になったのだろうか? ベンチの上にはナナカマドが一本。ここに至るまでに,樹林は緑で紅葉はほとんど見られなかった。まだ時期が早いのだろうか,それとも,この9月の長雨で日照時間が少なかったので,このまま終わってしまうのか。

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時間に余裕を持たせたのでトイレも空いていて落ち着いて朝の日課を済ませる。カミさんと自分の雨具,水,昼食を自分のザックに入れてカミさんにはアタックザックの軽装をさせて8時に南御室小屋キャンプ場を出発した。今日の行程は6時間ほどだろう。

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道は直ぐに急登となり,朝っぱらの一仕事としては厳しすぎる。この登山道は無雪期の登山道と標識にある。30分ほどで少しは楽に歩けるようになって,さらに先に大きな岩が現れた。その脇の踏み跡に分入って岩に立ってみる。今日も,おなじみの,白峰三山と富士山が見えた。実にいいタイミングの山行だ。

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キャンプ場をスタートして1時間で砂払岳に着いた。足元は花崗岩が崩れて砂になったザレ道で滑りやすい。「向こうに見える白い樹林は霧氷じゃない」とカミさんが指差す。なるほど寒いわけだ。

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砂払岳を下ると工事中の薬師岳小屋だ。凍った樹木をよく見ると海老の尻尾のようなものがある。なるほど,海老の尻尾だ。

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10分で鳳凰三山の最初の薬師岳(2,780m)に到着した。あたりはガスが取り巻いていて視界は良くない。次のピークの観音岳を目指す。観音岳に向かう稜線からは八ヶ岳が雲上に顔を覗かせてくれた。

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ハイカーの姿も見える距離に観音岳が近づいてきた。薬師岳から40分で鳳凰三山第2ピークの観音岳(2,840m)に着いた。鳳凰三山では一番高い標高の山だ。

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観音岳を過ぎると展望が開けてきた。霧も晴れて陽射しが出迎えてくれる。次に登るピークの地蔵岳のオベリスクが見える。その左の,多分,甲斐駒ケ岳との間に北アルプス連峰がかすかに見える。目を凝らしてみると特徴的な槍ヶ岳も確認できた。

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岩稜を巻いて,観音岳から30分で鳳凰小屋分岐のザレ場に着いた。そこから,ズルズル滑る,真っ白な花崗岩の砂のザレ場を登る。

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上り詰めたところが赤抜沢ノ頭だ。ここでカミさんが空腹を訴えるので,ラーメンとアルファ米の赤飯で昼食を摂ることにした。咲き残っている花は,カミさんはエーデルワイスの仲間といったが,ヤマハハコじゃないかな。

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荷物を置いて地蔵岳へ下って行くと賽の河原の地蔵たちが出迎えてくれる。地蔵岳(2,764m)だ。これで鳳凰三山を踏破したことになるのだが,オベリスクはどうしようか。これまでの行程をFacebookで知らせたら,自転車/山仲間のWさんが「オベリスクにトライしてください」とか外野連中が「オベリスク,アタックせよ」とか書いてよこしている。ここに来る前に,例の,百名山を読んで見たりガイドブックやネット情報で調べて見た。どうやら自分の体力・技術では登らない方が良い/登れないと判断していた。で,もちろん止めにして下から眺めるだけにした。

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赤抜沢ノ頭に戻り再び観音岳に向かった。ここらあたりでも黄色の樹木がちらほらあるだけの紅葉状態だ。帰路の地蔵岳は霧が晴れて見通しが良くなっていた。

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ようやく南御室小屋キャンプ場に戻ってきたのは出発から7時間経った3時だった。予想よりも時間がかかった。観音・薬師岳を2度も登ったのだから,そんなものか。それとも疲れていたからか。ともあれすぐさま,お約束のビールで乾杯だ。

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ベンチで夕食の支度をしたが,あまりにも寒いのでテントに持ち込んで食べた。今日のメニューはアルファ米の白飯でカレー/ハヤシライスだ。行動食を頻繁に食べたので,長丁場の行動にもかかわらず,あまりお腹が減ってない。で,一食分の白飯は翌朝のおじやに取っておくことにした。今日も早々とシュラフに潜り込んで8時には寝てしまった。

第四日目(10月14日 南御室小屋キャンプ場〜芦安温泉〜自宅)

今朝は5時という早起きをした。朝食メニューは白飯に豚汁を加えたおじやだ。熱々のおじやがからだを温めてくれる。朝の日課を済ませてテントを撤収する。8時にはキャンプサイトを経った。

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苺平,杖立峠を過ぎて夜叉神峠に近くなった頃には登って来るハイカーが多くなった。今日は金曜日なので南御室小屋も混むだろう。出会った中年男性から「南御室小屋は混んでいましたか」と聞かれた。話をしてみると「携帯電話を忘れてさらに公衆電話も見つからずで南御室小屋には宿泊の予約をしてない」という。南御室小屋は宿泊の予約がないとダメなので自分たちの携帯で連絡してあげようとしたが,圏外で繋がらない。困ったがどうしようもない。無事に泊めてもらえるのを祈るばかりだ。

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巨木の根元の立派なキノコや大きく顔を出した富士山が見えてきて夜叉神峠に下りたった。ここで出会った青年は御座石温泉まで,昔は山歩きが好きだった,父の車で来て鳳凰小屋に泊まり,この下の夜叉神峠登山口で迎えを受けるという。親孝行の一つのかたちかな。

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夜叉神峠登山口への道端でヤマトリカブト(キタザワブシかも)を見つけた。カミさんが種を摘み取って自宅の庭に撒いてみる,という。はてさて,何に使うんだろうか。まさか,ねぇ〜。夜叉神峠登山口に降り立ったのは12時と,思いがけなく,早かった。行きは5時間半,帰りは4時間であった。もっとも帰りは昼食の時間が入ってないが。

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芦安温泉に下りて,日帰り温泉で汗を流した。ぬる目の温泉にゆったりと浸かって3日間の垢をすり落とした。そのあとは,3日ぶりのまとまな食事をした。カミさんは天ぷらウドンを自分は味噌カツ定食を注文した。

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カミさんのビールを一口飲んだがこれが疲れたからだに効いたようで顔が火照って赤くなってしまった。カミさんの発案で南アルプス芦安山岳館を見学することにした。常設展は南アルプスに関する人物,自然などが展示されていた。自分には登山用具の進歩が間近に見られて,なかなか面白かった。企画展として「ナチュラリスト田淵行男の世界 博物学者の見た南アルプス」があった。チョウの生態写真家,北・南アルプスの山岳写真家として有名だった人物だ。いつだったかTVで彼の伝記を見たことがあった。彼は私の大先輩にあたる東京高等師範学校の卒業生だ。

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2時半に芦安温泉をスタートして自宅に向かった。山を降りるとカーナビが行きとはかなり違った道を示したので,とりあえずそれに従った。新しいバイパス(80km/h制限の一般道)を通って甲府南ICに導いた。このあたりからイヤな予感がしたが,果たしてその予感は東京に近づいて八王子を過ぎた頃に現実のものとなった。カーナビは高井戸ICを降りて環八から外環を走るコースを示したが,前回の修善寺からの帰りのナビに従って川口で降りてしまった体験に懲りて無視して首都高速に入っていった。ところが首都高速はあちこちで混雑していて,カーナビは頻繁に新たなコースを指示する。銀座を回らされたと思ったら北池袋に行けという。この辺りでカミさんのヒューマンナビの横槍が入って,気が付いた時は入谷で降りる羽目になっていた。あちこちぐるぐると回り,南千住の駅前のロータリーで切れ目のない歩行者,自転車に悩まされてようやく首都高速道路に戻った。カミさんと喧嘩しなかったことが自分でも驚きだ。そもそもこの山行の前に一月に渡って家庭内離婚状態だったのだ。なんとか自宅に帰り着いたのは7時を回っていた。これもAIのなせるワザか。

今回の山行のログをカシミールに落として見た。歩いた距離は29.96km,総上昇量は2,115mであった。

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